2021 Fiscal Year Research-status Report
出入国管理政策を通じた冷戦と国民国家形成に関する比較歴史社会学的研究
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19K13913
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Research Institution | Institute on Social Theory and Dynamics |
Principal Investigator |
朴 沙羅 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (40726973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 出入国管理政策 / 日本 / フィンランド / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は書籍(日本語・単著)を1冊出版し、学会での口頭報告(日本語)を1件、招待講演(日本語)を4件行った。また共著の書籍に2件執筆し、現在出版を待っている。また一般向け雑誌に2本寄稿した。 まず2021年11月に『ヘルシンキ 生活の練習』を筑摩書房より刊行した。これは一般書ではあるが、フィンランドと日本の移住状況と歴史認識等について記述している。次に『生活史論集』(岸政彦編、ナカニシヤ出版)に1本、在日コリアン1世女性の学ぶ識字学級でボランティア講師をしていた日本人への生活史インタビューを寄稿し、『入管問題とは何か』(鈴木江里子・児玉晃一編、明石書店)に日本の出入国管理政策の起源から1970年代半ばまでの経緯を述べた章を執筆した。これらはともにすべての執筆者の原稿がそろい、2022年度中に刊行される。 11月には日本社会学会大会で口頭報告を行い、歴史認識論争に関する社会学的貢献の可能性について論じた。このほか、7月にはコリアNGOセンターと梨の木ピースアカデミーの連続講座にて日本の出入国管理政策に関する一般向け講演を行い、11月には神戸外国人センターで「外国人を作り出した戦後」というタイトルで講習会を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は8月以降、フィンランドの公文書館・図書館・博物館等が再開されたため、文書史料調査を再開することができた。その結果、フィンランド国立文書館に6回調査を行い、主に1945年から50年にかけてエストニアとロシアからフィンランドへ非正規に移住する人々に関する文書史料を収集することができた。 他方で、これまでの研究成果を口頭報告と招待講演でまとめることができ、その際に得られたフィードバックを元に書籍への寄稿論文を執筆できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は文書史料の収集と調査を進めるとともに、日本の出入国管理政策に関する書籍・論文を敢行することを目的とする。フィンランドの戦後直後におけるロシアとエストニアからの非正規な出入国の実態とそれをめぐるフィンランド共産党を中心とした政治状況は日本の出入国管理政策を検討する際にかなりの違いがあるため直接の比較は困難であると次第にわかってきたが、むしろこの直接的な二者比較の困難さは冷戦と出入国管理政策との関係を第二次世界大戦後の国際秩序の形成という問題を理解するために有効であると考えられるため、アメリカ合衆国の1952年移民・国籍法の成立過程の政治史なども比較の視野に入れ、より包括的な理論枠組みの形成を目指す。
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Causes of Carryover |
韓国で2回、オーストラリアで1回開催される国際学会に出席する予定でいたが、新型コロナに伴う入国規制のため全てオンラインあるいは延期されたため、出席できなかった。来年度には延期されていたオーストラリアでの学会が開催されるほか、韓国の入国規制が緩和されれば同様の招待講演があった場合も出席できる。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 歴史の中の在日コリアン2021
Author(s)
朴沙羅
Organizer
Dongguk University, College of Humanities, Korea, Democratic People's Republic of
Int'l Joint Research / Invited
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