2020 Fiscal Year Research-status Report
大規模医療情報と気象情報の統合による新たな薬剤性腎障害リスク予測モデルの構築
Project/Area Number |
19K13914
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
近藤 悠希 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (90721879)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 薬剤性腎障害 / 季節性 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤性腎障害を含む急性腎障害は、近年増加傾向にあり、その約3割が未回復であるとされる。そのため、これまでに急性腎障害の治療法や予防法に関する様々な研究が実施されてきたが、未だ十分な対策が確立しているとは言い難い。したがって、急性腎障害、特に薬剤性腎障害の予防法の開発は、医療安全上の喫急の課題であるといえる。また、気温、湿度、気圧の変化といった気象の変化が、各種疾病に影響を及ぼすであろうことは古くから経験的に知られており、これまでに様々な疾患と気象情報の関連が検討され、気象の変化と疾病が関連することは常識となりつつある。その一方で、気象の変化が急性腎障害の発症におよぼす影響については、これまでほとんど検討がなされていない。そこで本研究では、急性腎障害と季節性・気象情報の関連性を検証する。 令和二年度は、購入したレセプトデータを用いて、薬剤性腎障害の代表的な原因薬剤である非ステロイド性抗炎症薬使用患者における急性腎障害について、季節性を検討した。外来診療における非ステロイド性抗炎症薬使用患者において、レセプト記載の傷病名より同定した急性腎障害の発生件数等を月別に検証した結果、冬季と比較して夏季に増加することを明らかにした。また他のいくつかの原因薬剤についても検討した結果、同様に夏季に増加する傾向を見出した。さらに、薬剤性腎障害だけでなく外来患者におけるすべての急性腎障害についても検討を行い、同様に冬季と比較して夏季に明らかに増加することを明らかにした。一方で、外来患者と比較して気温や湿度等の影響が少ないと思われる入院患者では、このような季節性が見られないことも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和二年度はレセプトデータを用いた薬剤性を含む急性腎障害の季節性に関する検討を予定どおり実施し、概ね完了した。以上の結果より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度までの知見に基づいて、本年度は予定通り、レセプト情報による薬剤性を含む急性腎障害について、気温や湿度等の気象情報から予測モデルの作成に取り組む。
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Causes of Carryover |
購入品等の購入額が当初の見積よりも安価であったため、差額が生じた。
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