2020 Fiscal Year Research-status Report
An Empirical Study on a Migration of Young Highly Skilled in Asia and on Promoting or Inhibiting Factors of Entering to Labor Market
Project/Area Number |
19K13926
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Research Institution | Nagoya Sangyo University |
Principal Investigator |
松下 奈美子 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (00743642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 若年高度人材 / 国際移動 / 中国 / 韓国 / 留学生 / 海外就労 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年は主に中国と韓国の若年層の海外移動について研究を行った。中国に関しては、近年、中国の一般家庭の所得水準の上昇とともに、私立高校やインターナショナルスクールへの進学数の増加や、海外の大学進学の傾向が強まっている。直近15年間の中国人留学生の推移では、2005年までの留学先として最も多かったのは日本であり、2007年以降はアメリカへ向かう留学生が急増している。北京市や上海市など大都市は経済水準が高く、海外留学が可能な経済力がある家庭が多い一方、遼寧省など東北部では海外留学の比率は依然として高くない。15万元以上の世帯収入層が中国国内で増加すれば、それにともない子供を留学させたいという親が増加し、今後も私費留学生が増加していくと予想される。中国は長期トレンドとして人口減少期に入ったとされるが、依然中間層のボリュームが大きく、海外留学の洗剤希望者は多くいるといえる。こうした中で海外留学の障壁となるのは、留学後の就職可能性である。留学先の国での就職可能性、中国帰国後の就職可能性を比較した際に、留学が就職にとって有利に働かないという状況になった場合、留学を思いとどまるケースが増えてくる。
韓国に関しては、日韓関係の状況によって若年層の移動に多少の影響はあるものの、2000年代以降の日本への移動は依然続いている。ただし、20年前と2020年では移動する動機が異なっていることがヒアリングから明らかになった。韓国の海外送り出し制度や情報通信政策の近年の変化に伴い、2000年代初頭の経済的避難の性質を帯びた移動パターンと変わり、海外就労が主たる目的ではなく、日本への一時的移動というう目的のための手段になっているケースがみられるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は新型コロナウィルスによる海外渡航、国内出張がほぼ全て凍結したため、出張による調査、聞き取りは取りやめとなった。オンラインでできる調査、文献サーベイで可能な範囲の研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で予定していた海外調査等は、今年度可能であれば実施する予定であるが、状況次第では海外調査を行わない研究に切り替えていく。
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Causes of Carryover |
海外調査として計上していた旅費分が昨年度はほとんど使わなかったため。 今年度は状況次第で随時調査を実施していく。
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Research Products
(3 results)