2020 Fiscal Year Research-status Report
Social reproduction and the limitations: inclusion and exclusion of social movements in Japan
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19K13929
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
富永 京子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (70750008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Activist Identity / Convergence Space / Political anthropology |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍のため、内定していた国際会議については報告が難しかったが、国際誌論文一報が刊行された。これまで観光学・社会学による社会運動分析の枠組みを探求していたが、国内の研究会において地理学・観光学のポスドクの方々による助言を得ることで、地理学・人類学に研究領域を広げたことが2020年度における最も大きな進歩だったと言える。刊行された論文ではConvergence Space概念と、申請者がこれまで関心を寄せてきたActivist Identity概念を用いてこれまで調査を行ってきたG8サミット抗議行動を分析することにより、Activist Identityの形成過程としての社会運動における「集まり」の像を明らかにできたのではないかと考えている。 調査に関しても、コロナ禍のため思うような結果を得ることは出来なかったが、代わりに調査者自身が社会運動従事者となり、主にテレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアを中心に活動しながら、メディア空間と社会運動の参与観察を行うことで、これまでとは異なる興味深い知見を得ることが出来た。来年度は、とりわけ女性運動家に対する調査を進めながら、調査者自身の経験がどれほど一般性を持っているのかを照らし合わせつつ、Activist Identity研究とフェミニズム研究に視野を広げる。最終的には、人類学・地理学におけるActivism vs Academism研究の枠組みを用いた上で、著者自身の社会運動従事者としての参与観察の結果を刊行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により従来の研究をすることは出来なかったが、調査者自身がマスメディアを通じて発信することによりまた異なる形で調査の経験と調査対象者とのラポール形成を行うことができた。こうした経験を記述するに当たっては、とりわけフェミニズム論と人類学からの知見が有効だと考えられるため、理論枠組を形成した上で、本年度の調査データを来年度の研究成果として公刊したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、人類学・地理学の知見を踏まえた上で、著者自身の社会運動従事者としての参与観察をオートエスノグラフィー形式で記述・検討し、人類学あるいは社会運動の査読国際誌に投稿するよう努めたい。既に2021年度の国際会議・国内学会に内定しており、またインフォーマルな研究会でも報告の予定があるため、こうした機会を用いながら調査結果と分析をブラッシュアップさせていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、調査・国際学会参加のための参加費・渡航費宿泊費が不要であったため。来年度の調査・国際学会参加がかなうか否かによって変化するが、データ分析謝金として執行したい。
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Research Products
(4 results)