2019 Fiscal Year Research-status Report
里親支援についての日伊比較研究:〈脱施設化〉の社会的背景の解明に向けて
Project/Area Number |
19K13932
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
藤間 公太 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (60755916)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会学 / 里親支援 / 社会的養護の〈脱施設化〉 / 日伊比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、質的分析(社会的養護関係機関の職員、里親へのヒアリング)、量的分析(既存統計データの二次分析)による日本とイタリアとの国際比較研究を通じて、①施設養護から家庭養護への転換(脱施設化)を達成した国では、どのような里親支援が行われているのか、②そうした国での取り組みを日本に応用することは可能か、③可能でないならば、脱施設化を妨げる日本独自の社会的背景は何か、という3つの問いの解明に取り組むものである。脱施設化は、日本の社会的養護研究において一貫して重要な課題とされてきたが、いまだ日本において脱施設化が実現されたとはいえず、その背景も解明されていない。1つの理由として、脱施設化を達成した国との比較研究が不十分であることが挙げられる。里親支援の実態も含め、脱施設化と関連しうる要因についての比較研究を行うことが必要である。 脱施設化の背景要因の1つとして里親支援に着目し、日本とイタリアとの国際比較研究に取り組む本研究の学術的独自性と創造性は、大きく3つある。第1に、里親支援の実態について、脱施設化を達成した社会との比較に取り組む点である。第2に、脱施設化が進まないことについて、日本独自の社会的背景を解明しようとする点である。第3に、質的分析と量的分析との双方を行った上で、マクロな社会理論と接合して解釈を行う点である。 初年度にあたる2019年度においては、本調査研究の仮説構築のための作業を中心に実施した。具体的には、文献サーベイと、前身の研究プロジェクトで行った調査で得たデータを二次分析することにより、中間的な成果を公表した。イタリアが「脱施設化」を達成する上ではいくつかの制度整備が下地となっており、この点を詳細に調べることが令和2年度以降の課題になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年1月から3月にかけて実施する予定であった国内外でのプレ調査が、新型コロナ禍の影響で実施ができなかった。特に海外現地調査に関しては、担当者との連絡、折衝も十分に行えていない状況であるため、本調査研究事業全体のスケジュールの見直しを行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、新型コロナ禍の影響で、本調査研究事業全体のスケジュールの見直しを行う必要がある。場合によっては、調査項目を簡便化し、メールでの情報収集を先行して実施するなどの工夫が必要であると考えられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍の影響により、プレ調査が実施できなかったため。
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Research Products
(7 results)