Practice and effectiveness of the Manchester Homelessness Charter and associated pledge systems

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K13935
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 河西 奈緒 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員 (20817522)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: ホームレス / 憲章 / プレッジ / マンチェスター / パートナーシップ / コ・プロダクション

Outline of Annual Research Achievements

本年度は、「英国マンチェスターのホームレス憲章とプレッジシステムを核とした問題解決の取り組みを明らかにし、同モデルの有効性を検証する」という研究第一の目的に対応した研究活動を行った。
具体的には、まず研究中断期間前に実施した英国マンチェスターでの現地調査結果について、インタビュー調査の文字起こしの残りを完了させ、その内容を、補足資料を用いながら整理することで、当市におけるホームレス問題解決の取り組みが独自の発展を遂げた経緯を細かく時系列にまとめた。また、それにより形成されたホームレス憲章とプレッジを核とした問題解決システムの構成要素と各役割、資金の流れ等を図にまとめた。これらの作業により、システムの核となる連携体「マンチェスター・ホームレス・パートナーシップ」を構成する各組織の役割分担や意思決定方法、プレッジの運用方法が明らかとなった。連携体においては、当事者や支援現場から上がってくる課題に対し、その課題にコミットする意思のある当事者や支援者らが自主的にアクショングループを組み、連携体の承認を得て実務を行うという機動的な仕組みがとられていることが明らかとなった。
次に、プレッジシステムの有効性を検証するため、プレッジ全393件のうち、公開されている345件の詳細を収集し、プレッジ実施者の団体・個人の別、団体種別、業種、プレッジ内容（具体的な貢献活動の内容）について集計を行った。この作業により、プレッジは団体によるものが約4割を占め、中でも企業とボランタリー団体によるものが多く、そのプレッジ内容は各業種の特性に関するものが多くみられるなどの傾向が分かってきている。この分析については現在まだ作業中であり、今後、プレッジの具体的な実施事例調査と合わせてまとめる予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、資料調査およびインタビュー調査結果の整理を終え、マンチェスターのホームレス憲章および全市的パートナーシップの形成過程と組織的体制を図表にまとめ、学術論文全体の構成と各章の内容を固めることができた。ただし、論文本文の執筆が遅れており、年度内の提出が出来なかった。
一方、本年度から来年度にかけて予定しているプレッジシステムの有効性を検証については、プレッジ345件のデータ収集と大まかな集計を年度内に終えており、次年度はプレッジ内容の分析と実施状況の事例調査を来年度に行う予定である。
以上を総合し、本研究の進捗状況はやや遅れていると判断している。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は、まず、マンチェスターのホームレス憲章および全市的パートナーシップの形成過程と組織的体制について、研究結果を学術論文にまとめて学会に提出する。また、プレッジシステムの有効性の検証については、学術論文あるいは学会発表等の形で発表する。
また、研究成果の報告と東京への応用の可能性について、東京都内で支援・研究関係者との協議の機会を設ける。東京における協議の結果は、マンチェスターのホームレス・パートナーシップやその他の調査協力者にもフィードバックし、研究課題終了後も両都市の関係者間の知恵の交換や協力関係の継続を図る。

Causes of Carryover

予定していた学会論文の投稿を年度内に実施できなかったため。来年度前期に投稿を予定している。