2020 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者に対するアウトリーチ支援:二者関係で生じる困難と求められるスキル
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19K13937
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
川西 智也 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (30824734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アウトリーチ支援 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症初期集中支援チームの全市町村設置など実践が広がりつつある認知症高齢者へのアウトリーチ支援について、以下の三点を明らかにすることにある。 ①アウトリーチ支援の過程のなかで、援助職が抱える困難の構造を明らかにする。 ②アウトリーチ支援に伴う困難に対し、援助職がどのように対処して支援を展開させているかを明らかにする。 ③アウトリーチ支援に求められるスキルを同定し、援助職による実践に資する知見を提供する。 2020年度は、引き続き認知症高齢者に対するアウトリーチ支援に関する文献研究を行い、支援上の課題と展望についてまとめた。そのなかで、支援上の課題は援助職の援助技能だけに帰する問題ではなく、支援を担う職員の職場体制や高齢者が暮らす地域にも関わる課題であることが浮かび上がった。これについては、『社会福祉研究』140号(2021年4月)での掲載を予定している。 また、文献研究を通して、アウトリーチ支援を認知症高齢者への支援というより広範な文脈のなかに位置づけることを試みた。認知症がもたらす影響として、認知機能障害やBPSD、生活障害に加え、地域や社会との接点において生じる社会的困難があり、アウトリーチ支援の対象となる高齢者の多くはこの社会的困難を抱えているものと考えられる。認知症高齢者への支援を含め、これらの点については『公認心理師・臨床心理士のための福祉心理学入門』(2021年4月)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度にフォーカスグループインタビューをはじめとしたデータ収集を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響もあり研究協力者の選定・協力が難航し、データ収集に着手できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
対面に限らずオンラインによるインタビューを実施する可能性も含め、引き続き研究協力者の選定を進めていく。困難な場合、質問紙調査等、調査方法の変更も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
学会がオンラインによる開催となったことで旅費がかからなかったこと、他の予算から費用を捻出した学会参加がいくつかあったこと、実施予定であったインタビューが実施できず人件費が生じなかったことによる。 2021年度には複数回のインタビュー調査を行い、出張費(対面によるインタビューの場合)・人件費として使用する予定である。
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