2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13938
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣野 俊輔 同志社大学, 社会学部, 准教授 (60626232)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的障害者福祉法 / 障害福祉計画 / 障害者施策 / 対象規定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、知的障害者福祉史に関する業績として、「精神薄弱者福祉法に対象規定が欠落しているのはなぜか? : 制定過程における対象規定への言及をふまえて」を同志社大学『評論社会科学』に投稿・掲載した。この業績は、知的障害者福祉法の成り立ちについて従来とは異なる説明を試みるものであり、本科研にとって大変重要な業績である。 次に、現在の障害者福祉施策に関する研究、とりわけ、障害種別を限定しない論考として、「なぜ評価に目が向かないのか?障害福祉計画に関する問題提起」埋橋孝文編著『福祉政策研究入門政策と指標 第2巻 格差と不利/困難の中の福祉政策』明石書店,50―60を執筆した。こちらは、主に2000年以降の障害者福祉施策、とりわけ障害者福祉計画のありようや課題を議論したものである。 最後に今後の課題や展望について述べる。三障害のような施策の在り方がいかに形成してきたのかを知る上で、重症心身障害児が児童福祉法に内包された過程は極めて重要にも関わらず、これまで十分に議論されていない。次年度はこの点について検討したい。また、身体障害者福祉史については、ある程度の蓄積があるものの、重度の身体障害者が身体障害者福祉法で対象化されていない際にいかに暮らしていたのかといった点も重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
関東などに出向き自由に資料を収集することに制度的な制約は少なくなりつつあるが、やはり躊躇される部分があり、そのことが資料の制約につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
重症心身障害児施策の1つである特別児童扶養手当(現在は障害種別を問わず支給)や児童福祉法上における重症心身障害児施設の位置づけについて、国会議事録、各種データベースを活用しながら検討を続ける。また、コロナ禍の様子をみながらも、国立国会図書館、東京都立図書館などに出張し、関連する資料を渉猟する。また、研究者間のネットワーク、他に分担参加している科研費のプログラムとも連携しながら、戦後の障害者福祉政策を俯瞰する研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、前年度の研究の成果を論文にすることに注力したため、費用が生じなかった。また、出張について実現できなかったため、次年度に繰り越す必要性が生じた。次年度については、新たに資料を収集したい。
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