2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K13950
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
後藤 広史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (60553782)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活困窮者 / ホームレス / 自立支援センター / 就労自立・継続要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「生活困窮者の就労継続・阻害要因について明らかにし、地域での自立した生活を継続するための支援の方策について検討すること」である。本研究では、わが国において研究の蓄積が少ない、ホームレス状態にある(あった)人の就労継続・阻害要因に着目することとした。 2019年度(初年度)は、過去の科研の調査から協力をしていただいている、大阪市のホームレス自立支援センターをフィールドとし、引き続き利用者の個票データの入力・分析を行った。2015年4月~2019年3月末までの利用者613件のデータを整備することができた。アクセスの難しい対象者といえるホームレス状態にある人々のデータが、これだけの規模で整備できたことは、本年度の一番の研究実績といえる。 分析の結果、利用者の中に社会的な不利を経験している、あるいは現在も抱えている層が一定数いることが明らかになった。利用者のうち、幼少期の施設利用経験は約1割にのぼり、親の離死別経験に至っては利用者の半数以上が経験していた。また、少なく見積もっても、利用者の2割が、知的な障害あるいはメンタルヘルスの問題を抱えていることも明らかになった。これらの結果は、現場レベルでは経験的に知られていたことであるが、具体的な数値としてあらわすことができたことは、大きな研究の成果といえる。 なお、これらの結果は、当該機関から出される報告書の一部に収録済みであり、研究の一部を現場に還元するかたちで発表済みである。今後は、より詳細な分析を行い、学会発表、論文化へと作業を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019度の計画にあった、当該機関を経て就労自立したホームレス経験者へのアンケート調査の準備であったが、「研究実績の概要」で述べた作業に想定以上に時間がとられたこと、調査対象者へのアンケートの送付が困難であること、コロナウイルスの蔓延により年度末の打ち合わせが行えなかったことなどから計画通りに進まなかった。 2020度はこれらの諸条件を踏まえて、計画を修正し、アンケート調査の準備を進め、実施を目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」で述べたアンケートの実施の困難性を踏まえ、アンケートの方法について修正を図ることを予定している。具体的には、調査対象者の負担軽減と回収率を上げるため、QRコードを用いて、回答を収集するといった方法を検討している。 またコロナウイルスの影響で、現場と顔を合わせての打ち合わせが困難になっている。状況次第では、テレビ会議システムなどを用いた打ち合わせを行うなどを検討し、研究が遅滞することなく進めるようにしていく。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた現地での打ち合わせが、コロナウイルスの影響で実施できなかったこと、アンケート調査のパイロット調査ができなかったことに由来する。収束し次第、現地への旅費へと充当する。またアンケート調査を迅速に計画・実施し、これの費用とする。
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