2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13950
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
後藤 広史 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (60553782)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活困窮者 / ホームレス / 就労自立 / 継続要因 / 阻害要因 / ホームレス自立支援センター / 生活保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホームレス自立支援センターを就労自立した利用者に対して、その後の就労状況、生活状況および地域移動という観点からアンケート調査を実施した。回収数は少なかったが(n=61)、ホームレス状態から就労自立をした人々に対する国内初の調査であり、貴重なデータが得られた。現在データのクリーニング中であり、今後分析を行い、学会や紙面で発表する予定である。 以前より蓄積していたホームレス自立支援センターの利用者のデータを用い、どのような変数が就労自立に寄与しているかを明らかにした論文を執筆した(貧困研究会の学会誌「貧困研究」28号に掲載予定)。ここでは自立支援センター内における技能講習が就労自立と強く関連していることが明らかになった。 ホームレス状態にある人々の支援を考えるうえで、重要な社会福祉の制度である「生活保護制度」について、アメリカの公的扶助制度の一つであるSSI(Supplemental Security Income)と比較した論文を執筆した(「European Journal of Homelessness」に掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、昨年度実施できなかったホームレス自立支援センターを就労自立した利用者に対して、アンケート調査を実施することができた。また、以前から蓄積していたホームレス自立支援センターの利用者のデータを用いて論文を執筆し、掲載の目途が立った。以上のことから、当初の計画でこの時点で実施予定であった事柄がすべて行えたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ホームレス状態にあった人々が就労自立した後、生活面・就労面でどのような困難や課題があるのかを明らかにすることは、再度ホームレス状態に至らないための支援の方策を検討するうえで重要である。 生活面の課題についての検討は、すでにアンケート調査を実施できており、これから分析を行う予定であるが、就労面の課題についての調査が未着手である。そこで今後は、ホームレス自立支援センターの利用者を一定数雇用した経験がある企業の担当者数名に対して、グループフォーカスインタビューを行う予定である。 また、本研究は2022年度が最終年度となるため、報告書としてまとめる、あるいは書籍化に向けて作業を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、5回程度予定していた現地(大阪)での打ち合わせ・調査が実施できなかったことが主な理由である。次年度は、インタビュー調査等で複数回訪れることを予定している。またバイアウト制度に次年度使用額を充てることにより、より当該研究課題に専念する予定である。
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