2021 Fiscal Year Research-status Report
社会福祉制度を利用した「学びの場」の存在理由と学習実践に関するミクロ分析的研究
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19K13953
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
海老田 大五朗 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (50611604)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 障害者の学ぶ権利 / 学びの場 / 学習のデザイン / 特別支援教育 / 生涯教育 / エスノメソドロジー / 現象学 / 記述的解明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究方法として特別支援学校を卒業した生徒たちの学習活動という現象の記述的解明を志向しているため、研究方法をブラッシュアップすることが必須である。とりわけ現象を記述するとき、「事象そのものへ」接近する学問である現象学的知見は、現象を分節するための道具として筆者は重視している。第47回日本保健医療社会学会大会では、ラウンドテーブルディスカッションとして 「 質的研究における記述的解明の位置づけ」というタイトルのテーブルを企画立案し、「「現象学的」と特徴づけることは何が可能になっていることを示すのか~」という報告を私自身も行った。 また、本研究は障害者福祉におけるデザイン研究でもあるのだが、日本保健医療社会学会で拙著『デザインから考える障害者福祉――ミシンと砂時計』(2020年、ラグーナ出版)合評会を企画していただき、そこに著者として登壇した。障害者福祉論的にいえば、障害とは社会によって作られたものである。障害者雇用や就労支援の現場で、こうした障害者にとって障壁となる障害を、障害者にとって障害にならないようにどのようにデザインされてきたのか。こうした点が本書の論点であるが、この発想を学習の場に応用するのが本研究のねらいである。そのためにも、拙著を集団的に読む機会を、本書をもとに議論する機会を与えていただいたのは幸運であった。 新型コロナウイルス感染拡大のため、フィールドにはほとんど足を運べていない。本研究を進めるうえでこれは致命的なのだが、本年度は直接のフィールドワークをあきらめ、オンラインでも研究を進めるように方法論の一部を転換し、研究期間を延長して本研究を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究が大幅に遅れているのは、新型コロナウイルス感染拡大が未だ終息をむかえず、フィールドワークがほとんどできていないためである。もはや感染拡大の終息を待つことはできず、研究計画や研究方法を大幅に変更し、当初の本研究の目的である、特別支援学校卒業後の学びのデザインについて、明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の終息を待つことはもはやできないと判断し、オンライン上での学習提供者とのやりとりをつうじて、特別支援学校卒業後の学生たちに最適化された学びのデザインを明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大が終息しなかったため、調査や学会報告のために計上していた旅費が全く使用できなかったため、次年度使用額が生じた。今年度も旅費を使用する機会が大幅に増えることはないと予想されるため、学習実践集などを編纂し、出版したいと考えている。
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