2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K13955
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
三木 良子 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (70595404)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 雇用 / 労働環境 / 働きがい |
Outline of Annual Research Achievements |
2008(平成30)年の改正障害者雇用促進法により精神障害者は雇用義務の対象となり、以降精神障害のある雇用者数は増加の一途である。一方、以前より懸案事項であった離職率は改善せず、1年以内の離職者数は50%にのぼる。本研究では、精神障害者の離職者減少の一助となるべく、精神障害者が働き続けることのできる「労働環境」について焦点を当てた。 本研究は、全国の障害者就業・生活支援センター、区市町村の就労支援センター435ヶ所を対象にアンケート調査を実施した。アンケート調査の目的は、「同一の事業所で一般就労して1年以上経過している精神障害者」を対象に精神障害者にとって「働きがいのある」労働環境を明らかにすることである。 調査方法は、自記式アンケート調査を郵送にて送付回収した。回収率は、60/435(13.7%)であった。本調査対象の精神障害者は、障害者就労支援センターを通して依頼をしているため、比較的順調に就労継続している人たちが多かったことが考えられる。そのため、職場に対して好意的なイメージを持ち、「働きやすい」「働きがいがある」と回答した人たちが多かった。先行研究では、一般の中小企業における従業員の「働きがい」「働きやすさ」を高める傾向がある要因として「評価処遇・配置」「人材育成」「業務管理・組織管理」「福利厚生・安全管理・精神衛生」の雇用管理等の実施を挙げ、特に「働きがい」に影響するという結果が示されている。これらを本研究でもアンケート項目に入れ調査を行ったが、事業所において精神障害や疾患に対する理解の深まりは見えつつも、職業人としての成長に関する取り組みは高い結果としては現れなかった。今後の研究課題として、精神障害者にとっての働きがいとは何か、また継続して働き続けることのできる要因とは何かをインタビュー調査で明らかにしていきたい。また、それらが汎化できる方法を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査実施後、学会発表及び論文化を目指したが、新型感染症の流行により本務対応に時間を取られ研究が進まなかった。また、雇用されている精神障害者を対象に国内でのインタビュー調査も予定していたが、感染症の収束が見えず実施が見送られていた。現在、近隣地域を中心に雇用されている精神障害者を対象に「働きがいのある労働環境」に関する調査の実施を予定しており、近日中に8名の調査を行う。その結果を学会発表及び論文として提出する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
長期で雇用されている精神障害者を対象にインタビュー調査を実施する予定である。これまでのアンケート調査は予備調査という位置づけであり、実際に働く精神障害者の生の声を聴くことで「働きがいのある労働環境」を明らかにしていく。現在8名に協力依頼をとりつけており、「働きがいのある労働環境」を軸に、なぜ長く働き続けることができているのかを探り、学会発表及び論文化を目指す。また、これらが広く精神障害者の雇用現場に浸透するような方法を検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画では、国内出張として、①全国調査(雇用されいてる精神障害者へのインタビュー調査)、②学会出張が予定されていた。しかし、新型感染症の影響で国内の移動及び対面でのインタビューなどを控えなければいけない影響で、旅費をほとんど使うことができなかった。次年度は、近隣の精神障害者へのインタビュー調査を行うが、学会発表は前年同様オンラインで行うため旅費の支出が少ない状況である。
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Research Products
(2 results)