2021 Fiscal Year Research-status Report
里親の養育困難感に対する里子のアタッチメントに焦点をあてた介入研究
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19K13956
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Research Institution | Shizuoka University of Welfare |
Principal Investigator |
上野 永子 静岡福祉大学, 子ども学部, 准教授 (30716668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 里親支援 / アタッチメント / 養育困難感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、4名の里母に協力が得られ、研究計画に従い、一か月に一回の心理面接介入を実施しながら、里子の発達や行動上のあらわれ、里母の養育困難感に関するデータを収集したが、いずれの事例も、現在介入中であり、一連の分析には至っていない。 現時点での、事例検討から里母の養育困難感を感じる里子の行動について(例えば、かんしゃく)、その時の子どもの気持ちについて話し合う機会をもった。これは、養育者が子どもの気持ちを考えることが、子どもの安定したアタッチメント形成に貢献するとされているためである。いずれの里母も、子どもの気持ちを考えることが、子どもの行動に対する理解につながったようであった。また、自身が養育者から自立的であることを求められた里母にとって、里子の欲求に応えることに困難があり、そのように感じる自分に少なからず否定的な感情を感じているようであった。このような感情は実親であっても持ちうるものであるが、そこ里親子であることとと何らかの関連があるか今後検討する必要がある。 現時点での分析からは、生後すぐに里子委託となった事例においては、ほぼ実親子が経験するのと同様の子どもの第一反抗に関する困難感であり、里親子特有のものではないが、実親子との違いについては、今後詳細に検討する必要がある。また、施設養育から里親委託となった事例(研究協力当初は、委託後約2年経過した後である)については、委託当初、里子との関係性を築くことが困難であり、混乱ともいえる養育困難感を抱えていたが、自身の子ども時代の体験のために、支援者に助けを求めることが困難であったことがわかった。このことから、支援者は支援ニーズを表出しない里親であっても、養育困難感を抱えている可能性について留意する必要があり、支援につなげる枠組みについて今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度に、当初の研究計画における研究協力者がえられなかったことに加え、その後のコロナ感染拡大を考慮して、研究を一時中断を余儀なくされたことによる遅れの影響を現在も受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年も、研究計画とおり、さらなる協力者を募り、データ収集・介入研究を行う。
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Causes of Carryover |
予定されていた学会・研修会などがすべてオンラインとなり、旅費に経費がかからなかった。また、データ評価に関する人件費拠出を次年度に回したため、料金の支払いが少なくなった。 次年度は、データ書き起こし料金およびデータ評価にかかる人件費・謝金としての仕様を計画している。
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