認知症専門医療機関の連携担当者における認知症高齢者への受診援助の実践に関する研究

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K13957
• Research Institution: Nihon Fukushi University
• Principal Investigator: 杉山 京 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (90824912)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 認知症 / 認知症疾患医療センター / 受診

Outline of Annual Research Achievements

2019年度は、認知症疾患医療センター等の認知症専門医療機関における連携担当者（精神保健福祉士など）を対象に、認知症が疑われる高齢者の鑑別診断に向けた受診援助の実践内容やその実践を後押し、あるいは難渋させる要因を明らかにするため、インタビュー調査ならびに文献レビューを実施した。認知症専門医療機関などにおいて、現在、認知症が疑われる高齢者の鑑別診断に係る受診援助に携わるソーシャルワーカーなどの専門職に対し、調査協力を求め、そのうち調査協力が得られた数名について、半構造化面接によるインタビュー調査を行った。その結果、認知症専門医療機関における受診前における認知症が疑われる高齢者ならびに家族への直接援助に係る実践内容や、受診時における当事者らへのアセスメントの視点、医師等との事前・事後に係る情報共有、受診後における継続医療といった各段階において期待される受診援助の実践などに関する示唆を得ることができた。また、認知症が疑われる高齢者の早期発見・受診に係る地域包括支援センターなどとの連携システムの実際と今後の展望や、持続可能な在宅生活の実現に向けたかかりつけ医や関連機関等との間で期待される連携実践の内容を明らかにすることができた。一方、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、インタビュー調査の実施に係る協力は得ることができたものの、実際にインタビュー調査を行うことができなかった対象者も多く、本年度得られた研究結果の一般性や信用性、その妥当性には検討の余地が残っている。そのため、今後は文献レビューならびに次年度における継続的なインタビュー調査の実施から、さらに詳細な分析を行い、結果の解釈を進めていく必要があると考えている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度中に、インタビュー調査の実施を完了し、分析結果の集約を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、調査対象者である医療機関の専門職に対して研究計画の設定時点で想定した人数分のインタビュー調査を実施することができなかった。これにより、認知症専門医療機関における連携担当者による認知症が疑われる高齢者の鑑別診断に向けた受診援助の実践内容やその実践を促進・阻害する要因に関する示唆を十分に得ることができなかったと考えている。

Strategy for Future Research Activity

次年度の研究は、新型コロナウイルスの感染拡大に係る情勢を鑑みて、現在までに調査協力が得られたものの、調査が実施できていない認知症専門医療機関の連携担当者へのインタビューの実施可能性を考慮しながら、本年度の調査を継続して実施する。またインタビュー調査の実施が難しかった場合を想定し、先行研究などの文献レビューをさらに詳細に行い、2020年度に本来実施予定であったアンケート調査の実施に係る分析モデルなどの構築ならびに、それに係る調査票の作成、実施に向けた準備等を進めていくことを考えている。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実際にインタビュー調査を実施することができた対象者数が当初の想定よりも少なくなったために、それに係る旅費や謝金等との費用が大きく下回った。また実際にインタビュー調査を実施することができた対象者についても、謝金の受け取り辞退などが生じた。さらにパソコンなどの高額な物品については、別建ての予算から費用を捻出したために、科研費での支払いが不要となった。