2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症専門医療機関の連携担当者における認知症高齢者への受診援助の実践に関する研究
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19K13957
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
杉山 京 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (90824912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / 受診援助 / 連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は認知症専門医のいる医療機関における連携担当者(精神保健福祉士など)を対象に、認知症が疑われる高齢者(以下、本人)の鑑別診断における受診援助の実践状況とその関連要因を明らかにするため、アンケート調査を実施した。厚生労働省ならびに日本認知症学会、日本老年精神医学会などのホームページを基に、東日本における認知症疾患医療センターおよび認知症専門医がいる病院・診療所1,038か所を抽出し、当該機関に勤務する連携担当者を対象に、無記名自記式によるアンケート調査を実施した。 その結果、連携担当者による診察前の援助実践については、本人の「現病歴」や「既往歴」および「介護サービスの利用状況」の把握に関する実践がいずれも8割以上であり、一方で本人の日常生活の状況把握に関する実践は低値であった。また鑑別診断前後における認知症専門医との連携については、本人・家族から収集した情報提供などに関する実践頻度が高い一方で、鑑別診断後のかかりつけ医の選定など継続医療に関する援助実践の頻度が低いことが確認された。加えて鑑別診断後のフォローアップにかかる援助のうち「診断後の生活状況を確認するため、本人へ連絡を取っている」という実践については「あまり・まったく行っていない」と回答した人が約8割を占めており、認知症の鑑別診断前後における連携担当者の受診援助にかかる現状が明らかとなった。 今後は、本調査のデータを用いたより詳細な分析をとおして、連携担当者による受診援助と医療機関体制などとの関連性の検討を行い、本人にとっての意味ある鑑別診断につなげるための受診援助の実践に向けた有用な資料を提示していきたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、本研究の一年目に予定していたインタビュー調査の実施が遅延したことに伴い、研究計画全体の進捗にやや遅れが生じてしまっていた。しかし、2021年度までにインタビュー調査を踏まえたアンケート調査までを実施することができたことから、本研究課題の研究期間を一年間延長することをとおして、収集したデータの詳細な分析とそれらの結果の解釈を進めていくことで、認知症専門医のいる医療機関の連携担当者における受診援助の実践にかかる有用な示唆を提示できるように研究を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には、2020年度までに実施したインタビュー調査の結果を踏まえて作成した質問紙を用いて認知症専門医のいる医療機関の連携担当者を対象にアンケート調査を実施した。今後は、収集した各データなどを用いた詳細な分析を行うことをとおして、認知症が疑われる高齢者が早期に、その人たちにとって意味のある鑑別診断を受けるための受診援助の実践に寄与する有用な示唆を提示していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、研究進捗の遅れや研究課題に関連する情報収集のための学会参加など伴う旅費が不要になったことで、助成金額と使用額との間に差額が生じた。差額が生じた次年度使用額分については、2022年度に実施予定であるデータ分析や結果の解釈に必要な文献・資料収集、研究成果の公表に向けた論文投稿などに使用する予定である。
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