2019 Fiscal Year Research-status Report
The Role and Function of Community Base in Promoting Community Welfare
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19K13961
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
上野山 裕士 摂南大学, 教育イノベーションセンター, 講師 (20824486)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 対話 / 交流 / 拠点 / 多様性 / 担い手 / 協働 / 主体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域福祉を推進するうえで、住民をはじめとするさまざまな主体が交流し、対話しながら地域が抱える課題を考え、共有し、解決策を模索することが有用であるとの立場から、交流と対話の場としての地域拠点が担うべき役割と機能について検討する。 本年度の研究成果として、「交流」「対話」「拠点」をキーワードに文献研究を行うとともに、事例研究の調査対象地域の現状把握および具体的な調査スケジュールの検討を行った。 このうち、文献研究を通じて、先に示した3つのキーワードを検討するうえで、「多様性との向き合い方」と「地域の担い手確保/創出」という視点が重要であることが明らかとなった。前者について、本研究では、近年の地域課題の多様化、複雑化が人びとの「価値観」「境遇」というふたつの多様性に起因すると捉えており、事例研究を行う際にもこの視点を精査する必要がある。また後者について、多くの地域でさまざまな担い手不足が顕在化する現状に鑑み、拠点における交流と対話を実践へと昇華させていくことが求められる。 また、事例研究の予備調査として、報告者がこれまで継続的に関与してきた複数の地域における地域福祉の状況把握に取り組んだ。その結果、次年度以降とくに重点的に調査を行う地域として、1)多角的なアプローチによる交流、対話の場づくりを通じた地域の担い手確保/創出に取り組むK町、2)地域拠点の包括性を高めることにより交流、対話を誘発し、地域が抱える課題の解決に取り組むA市M地区、3)地域住民と大学生との協働による日常生活支援のあらたな担い手確保/創出に取り組むK町K地区、4)地区社協を中心とした交流と対話の場づくりに取り組むW市、の4か所を選定することとした。なお、具体的な調査では、アクションリサーチ手法を中心的に用いて、報告者自身も地域に担い手として地域福祉実践に参画することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、研究初年度に「交流」「対話」「拠点」にかかる文献研究と二年目から本格的に実施する事例研究の方向性を定めることができた。ただし、前者については事例研究(アクションリサーチ)に取り組むなかで追加的に文献レビューを行う可能性が高いこと、後者については調査対象地の選定や地域主体との関係性構築、地域によっては実践に着手している場合もあるが、研究成果として明示できるデータの収集には至っていないため、想定以上の進展とは言えず、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、アクションリサーチ手法を中心とした事例研究に着手する。 ただし、令和元年12月以降の新型コロナウィルスの世界的流行を受け、地域における調査活動がどの程度実施可能であるか慎重に見極める必要があり、社会の情勢を踏まえながら研究活動に取り組むこととしたい。
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Causes of Carryover |
申請書に記入した物品の価格と実際の購入額が大きく異なるものがみられたこと。また当初予定していたUSBメモリの購入を次年度以降に繰り越したこと。さらにアドバイザー、委員等の立場で地域を訪れた際に調査にかかる打ち合わせを行うことが多く、その場合は旅費が先方負担となり、旅費が大幅に減額となったこと。以上の理由により差額が生じた。次年度以降は先に示した記録媒体の購入に加え、さらに頻繁に調査対象地域を訪れる予定であるため、次年度使用額を有効に活用できると考える。
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