2020 Fiscal Year Research-status Report
The Role and Function of Community Base in Promoting Community Welfare
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19K13961
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
上野山 裕士 摂南大学, 教育イノベーションセンター, 講師 (20824486)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 交流 / 対話 / 地域拠点 / コロナ禍における対話・交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域福祉の推進における対話と交流の重要性およびそれらを誘発する場としての地域拠点の可能性について、研究を行った。 今年度は、新型コロナウイルスの影響により、本研究の主たる関心事である地域福祉活動が多くの地域において停滞し、当初想定していた研究の遂行が困難となった。具体的に、それぞれの地域において、新型コロナウイルスの陽性者等の具体的な数値は大きく異なるものの、とくに年度前期において「コロナの影響」はほぼ一律に地域に襲い掛かり、多方面の機能不全を引き起こし、地域福祉活動については思考停止状態に陥った。 このような状況に対し、研究計画の段階からフィールドとしていた和歌山県有田市、上富田町に加え、大阪府寝屋川市や和歌山県和歌山市の社会福祉協議会等と連携しながら「コロナ禍における地域活動の形/対話・交流の形」を探ってきた。まずは「コロナ禍でもできること」「コロナ禍でもしなければならないこと」を整理し、その過程で「コロナ禍だからこそできること」を検討することで、ICTの活用を含めた「これからの時代の対話と交流」のあり方について考察を行った。そのなかで、感染対策等の徹底を前提としながらも、地域として、そして個人としてどのように活動に取り組んでいきたいか、その想いに寄り添い、具現化させることが喫緊の課題となることをあらためて認識した。 とはいえ、次年度(令和3年度)においても先行きは不透明であり、今年度の実践からなにを継承し、どう発展させていくかが重要な課題となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究実績の概要】において示したとおり、新型コロナウイルスの影響により、当初想定していた対話と交流を誘発する物理的空間としての地域拠点のあり方からは一部、方向性の変更を余儀なくされたが、この間、社会福祉協議会職員等との対話を通じ、コロナ禍でもできること/しなければならないこと、コロナ禍だからこそできること、を精査することができた。これらの対話と対話を通じた学びは、あらためて地域福祉活動の意義や今後の対話・交流のあり方を検討するうえで非常に重要な知見を得る機会となった。また、アクション・リサーチを研究方法の軸とするうえで、悩みながら「Withコロナ時代の新たな実践」について取り組みはじめられたことは、ひとつの成果と捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで示してきたように、本研究では、新型コロナウイルスという想定外の事態に対し、できうるかぎりのアクション・リサーチに取り組んできた。そして、見守り・声かけにおける電話やICTの活用、屋外で十分に距離を取った環境での交流、テイクアウト方式を盛り込んだ子ども食堂、地域食堂の実施、など、小さな一歩ではあるが、「Withコロナ時代の新たな実践」を創出することができた。 ただし、新型コロナウイルス第4波、ワクチン接種の進行等、「Withコロナ時代」が実際にどのように展開していくのかについて、先行き不透明な部分があることもまた事実である。前年度を通じて模索し、実践してきたことを「コロナ禍のみの限定的な取り組み」と「コロナ禍以降も有用な新しい取り組み」とに峻別していくことが非常に重要な作業となる。このことを踏まえ、今後の研究の推進方策として、「Withコロナ時代の新たな実践の継続」「実践から得られた知見の整理・体系化」「コロナ禍における実践の意義についての考察(コロナ禍以降の有用性に関する峻別)」について取り組むことが挙げられる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、フィールドへの出張回数が大幅に減少したことがもっとも大きな要因である。社会情勢を踏まえ、当初予定していた国内遠隔地(近畿圏外)での調査も、当該年度ならびに次年度も取り止めないしは大幅削減の方向で検討している。一方で、国内近隣地域(とくに和歌山県内)での調査、実践については、今後大幅に増加する見込みとなっている。 ただし、新型コロナウイルスワクチンの接種状況を踏まえて予測すると、次年度よりもその翌年(研究最終年度)において大幅に増加する可能性が大きいため、次年度も使用額が予定を下回ると予想される。
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