2019 Fiscal Year Research-status Report
医療従事者とろう者・難聴者を繋ぐコミュニケーション教育プログラムの開発
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19K13972
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菊永 淳 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50634862)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ろう者・難聴者 / 医療従事者 / コミュニケーション支援 / 入院経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「医療従事者とろう者・難聴者を繋ぐコミュニケーション教育プログラムの開発」を主題とし、2019年度は本研究を実施するための研究体制の整備、基礎研究となるインタビュー調査、情報収集を主に実施した。以下に、詳細な2019年度の活動状況を示す。 1.研究体制の整備:2019年5月に研究班会議を実施し、研究趣旨とスケジュールの説明、研究への協力依頼を実施した。一般社団法人異言語Labのメンバー、研究に協力していただける手話通訳士を研究分担者とし、研究体制のチームを整備した。研究実施の必要物品となるノートPC、SSDメモリー、ビデオカメラなどの機材物品を揃えた。 2.インタビュー調査の進捗状況:本研究課題の基礎研究となる「入院経験のあるろう者・難聴者が医療従事者とのコミュニケーション場面で抱く思い」を計画し、実施した。この研究は、医療機関に入院した経験を持つ「ろう者」を対象としたインタビュー調査から、「医療従事者とのコミュニケーションにおいて経験した困難さと、助けとなったコミュニケーション支援」を当事者視点から明らかにすることを目的とした。 2019年6月に研究計画書を作成し、新潟大学倫理審査委員会に研究倫理審査の申請した。11月に倫理審査委員会の承認を得た。2020年1月に調査インタビューを実施した。その後、インタビュー実施を予定していたが、Covid-19の影響で研究を中断となり、現在に至る。 3.情報収集:ろう者、難聴者に関する基礎的な文献収集や、がんに罹患したろう者のサバイバー団体の講演会(がんば聾主催)への参加や、医療を受けるろう者・聴覚障害者のコミュニケーションバリアを取り除くためのシンポジウム(インフォメーションギャップバスター主催)などに参加し、ろう者・難聴者が医療を受ける際のバリアやコミュニケーションでの困難さの情報取集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度の研究計画として、ろう者・難聴者の入院時に医療者とのコミュニケーション場面で感じた困難さとサポート支援のインタビュー調査を4名程度まで実施する予定であった。2019年1月までは、計画通りの進行していたが、2月からの新型コロナウイルスの影響で、研究自体がインタビュー対象者との対面ができない状況となり、予定していたインタビュー人数が実施できていない現状となっている。現時点では、インタビュー開始の見通しが立っておらず、今後大幅な研究の遅れが見込まれる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、新型コロナウイルスの影響の中で、インタビュー調査が中断している状況である。今後の状況や先行きを見ながら、インタビュー調査が可能かを判断していく必要がある。 ろう者・難聴者のインタビュー調査のため、ZOOMなどのインターネットでのインタビューを検討したが、手話通訳者を含めた3者間でのやり取りが必要になり、手話を交えたインタビューは現状のZOOM機能では難しい面がある。また、インタビューを行う際の機材を準備する必要性もあり、予算面からも難しいと状況であると判断している。 このまま、新型コロナウイルスの影響が続く場合、2020年度以降の研究の大幅な遅れが考えられる。そのため、今後の研究期間の延長も視野に入れた計画を考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、インタビューを実施する際にかかる旅費と、研究参加者への謝礼に当てる分の予算が余剰する形になった。2020年度にインタビュー調査が開始できるようであれば、2020年度分の予算と合わせて、使用していく。
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