2019 Fiscal Year Research-status Report
学校教育現場における慢性疾患や障害のある子どものきょうだい支援に関する基礎的研究
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19K13983
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
滝島 真優 目白大学, 人間学部, 助教 (80794718)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | きょうだい / きょうだい児 / きょうだい支援 / ヤングケアラー / 慢性疾患 / 障害 / 学校 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究初年度として、学校における慢性疾患や障害のある兄弟姉妹をもつ児童・生徒(きょうだい児)の実態を把握するため、研究代表者が運営するきょうだい児支援組織の所在地である栃木県宇都宮市にある小学校・中学校・高等学校の教諭、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを対象に質問紙調査を実施した。その結果、「きょうだい児」という概念を認識している教職員は回答者全体のおよそ2割であり、きょうだい児に対する理解、周知の必要性が理解できた。一方で、個別事例を精査すると丁寧なかかわりを実践している教職員の存在も把握でき、教職員がきょうだい児の存在を把握できた時点で、きょうだい児が必要とする支援に繋げるための仕組みが地域に実在していないことも併せて理解することが出来た。現在、質問紙調査の協力者の中から任意でインタビュー調査を実施している。 さらに、次年度実施予定であったイギリスへの訪問調査について、インタビュー対象者の都合により前倒しで本年度に実施した。きょうだいを対象に全国的かつ組織的な支援活動を行っているSibsUKと、本団体と連携し共同研究を行っているWARWICK大学を訪問し、インタビュー調査を実施した。また、両者が共同開発した学校におけるきょうだい児に対する支援ツール「SibsTalk」のレクチャーを受講し、ツールの内容や有用性について理解した。そして、きょうだい児を含めたヤングケアラーを対象に学校との連携した支援を先駆的に実施しているWinchester Young Carersを訪問し、学校におけるヤングケアラー支援と具体的な支援プログラムの内容について理解した。イギリスにおけるいずれの実践も、子どもの権利を保障し、年齢不相応なケアを担うことによる不利益が生じることのないよう様々な配慮や工夫がなされていることを理解した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施予定であった学校における慢性疾患や障害のある兄弟姉妹をもつ児童・生徒(きょうだい児)の実態を把握することを目的とした学校教職員に対する質問紙調査は計画通り終了した。 しかし、学校教職員に対するインタビュー調査については、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、学校へ訪問することが困難となり、すべての協力者に対し実施することが出来ていない状況である。新型コロナウイルス感染状況を踏まえ、継続実施を検討したい。 また、イギリスにおける訪問調査についても、新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、小学校への訪問調査の実施が困難となった。学校におけるヤングケアラー支援の実際についてはインタビュー調査で理解を深めることが出来たが、小学校への訪問調査を通じて、きょうだい児を含めたヤングケアラーや、学校で直接ヤングケアラーに対する支援を実践している教員へのインタビュー調査を実施することが出来なかったため、研究期間中に時機を見て再度実施可能か検討したい。以上の進捗状況から総合的に判断し「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年度に実施した質問紙調査とインタビュー調査およびイギリスへの訪問調査で得られた知見をまとめ、学校におけるきょうだい児の実態とその支援について関係学会等で研究成果の発信をおこなう。また、2019年度未実施分のインタビュー調査については、新型コロナウイルス感染の影響を鑑みて継続実施を試みる。インタビューの実施にあたっては、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、必要に応じて調査方法を再考して実施することを検討する。さらに研究協力者との会議を実施し、調査で得られた知見を共有し、学校教職員に対する理解・啓発の内容について精査する。 最終年度にあたる2021年度は、教職員を対象としたきょうだい児の理解・啓発のためのパンフレットの作成を実施することを検討する。作成にあたっては、質問紙調査から得られた知見やインタビュー協力者の意見、きょうだい児に対する支援を行う団体の運営者や研究者で構成された研究協力者による意見を反映して作成を行う。また、これまでに得られた知見をもとに論文投稿による研究成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度に実施予定であったイギリスへの訪問調査について、インタビュー対象者である研究者の留学の関係で2019年度中にイギリスに訪問し、その旅費精算を次年度に繰り越したため。
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Remarks |
2020年4月14日NHK NEWS WEBにて学校におけるきょうだい児支援の特集があり、2019年度に実施した質問紙調査の結果について取り上げて頂いた。
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Research Products
(2 results)