2021 Fiscal Year Research-status Report
地域共生社会の実現に向けた多文化共生介護実践論の構築
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19K13984
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
二瓶 さやか 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60453346)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 介護実践 / 多文化 / 外国人介護職 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、実証研究に向け取り組んだ文献研究を中心としたレビューにおいて、介護実践における外国人の文化理解の重要性が示唆された。このことから、今年度は「文化」をキーワードとして着眼を置き、海外の異文化適応に関する先行研究のレビューに取り組むことで多文化間における介護実践の予備的考察に取り組んだ。 さらに先行研究のレビューより、外国人介護職の日本の介護実践における文化変容の概念を明らかにすることで、本研究が目指す、介護現場に依拠した多文化共生介護実践論の構築に関する知見を得ることができると考え、国内の介護施設に従事する外国人介護職(インドネシア人)を対象としたインタビュー調査を実施した。 インタビュー調査では、外国人介護職が日本における介護実践に影響を与える文化の構成要素を明らかにするためライフストーリー研究を基盤として、調査を実施しデータ収集に取り組んだ。インタビュー調査から、施設介護が根付いていない諸外国の外国人介護職の国内における介護施設への適応に関する課題が示唆され、今後取り組むべき問題点の整理と課題の究明に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は、本研究の目的としている、多文化間における介護実践を目指した多文化共生介護実践の理論構築に向けて、国内外の介護福祉施設を対象として実態調査による事例研究を実施し、データ分析に取組むことで、本研究目的としている理論構築に取組む予定であった。しかし、当該年度に取組むに必要となる実践事例検証のためのフィールド調査・データ収集が社会的情勢により困難となったことから、研究デザインと研究手法を再検討せざるを得なくなった。よって、本調査に向けた仮説検証・調査対象の選定に再度取組む必要性が生じた。以上の経過により進捗が遅れている状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
介護施設に従事する外国人介護職を対象としたインタビュー調査で得たデータ分析に取り組み、介護を実践するうえでの、日本と諸外国の「文化」に対する概念相違を明らかにする。そして、国際比較から日本における「多文化」概念について検証すると共に、介護実践の再定義を目指す。 再定義した概念について、日本・外国人介護職を対象としてインタビュー調査を実施し、さらなる検証に取り組み、多文化共生介護実践理論の新たな概念定義と理論を構築する。 社会的状況の動向を鑑みながら、可能であれば当初の研究計画で予定していたとおり、諸外国における介護実践の実態調査に取組む。
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Causes of Carryover |
該当年度に実施予定であった、国外におけるインタビュー調査が未実施(実施困難)となった。また、国内を対象に実施したインタビュー調査は、実施規模を大幅に縮小することとなった。よって、研究計画の変更とともに実地調査に係る旅費、人件費・謝金の使用に大きな変更が生じ、次年度使用額が生じることとなった。 未使用額については、次年度、当該年度の調査研究を検証・発展させる形で更なるフィールド調査を予定している。調査については、社会的状況を鑑み実施を予定しており、実施困難な場合には諸外国の文献研究に係る費用に充当し、研究を遂行していく。
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