2019 Fiscal Year Research-status Report
ファミリーソーシャルワークにおける「子育て生活スキル伝承型」支援モデルの研究
Project/Area Number |
19K13987
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
西岡 弥生 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (30829403)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 子育て生活スキル伝承型支援モデル / ファミリーソーシャルワーク / 生活スキル / 技能伝承 / 育成者(支援者)の役割 / 生活面における支援 / 疑似家族的な共同生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
母親の自己肯定感を高める「子育て生活スキル伝承型」支援モデルを検討するため、伝統技能伝承のあり方から示唆をえることを目的に、文献検討とフィールドワーク①②を行った。文献検討では研究対象を、技能伝承における身体的動作を介した相互行為や「稽古」を通して社会関係を取り結ぶ状況を捉えることができる「古典芸能」とし、技能伝承システムを検討した。伝承の中核(マイクロシステム)に、疑似家族的な共同生活や祖父母世代の伝承者の役割があることが示され、それらを取り巻く地域社会(メゾシステム)が、地域の文化・産業として「古典芸能」の保護・発展に取り組む状況が示された。フィールドワーク①では(公社)日本舞踊協会東京支部城南ブロックの協力を得て、城南ブロック自主事業「おどりの寺子屋ワークショップ」で参与観察を行い、育成者(支援者)の役割を検討した。「稽古」では、基本的に参加者(公募で募った地域の小学生)は育成者とのマンツーマンの触れ合いの中で技能を習得するが、副次的な効果として、「場」を共有する学年の異なる参加者同士がお互いにサポートし合う疑似兄姉弟妹的な関係が形成されることが見出された。なお、2020年8月に国立劇場で舞台発表するために稽古期間(2020年3月~2020年8月)において、参加者である子どもとその保護者の生活及び心理面の変化を知るために、保護者を対象としたアンケート調査第1回目を3月に実施する予定だったが、コロナウイルスの問題で8月の舞台並び稽古が中止となり、調査は延期となった。フィールドワーク②では箱根湯本芸能組合の協力を得て、見番(稽古場兼組合事務所)と置屋での参与観察と、インタビュー調査を実施した。インタビュー調査には、箱根湯本で伝統技能の指導に携わる育成者及び継承者を生活面からも支える育成者にご協力頂いた。インタビュー調査のデータは現在整理中で、分析は次年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献検討、フィールドワークともに、計画通り着手でき、データの入手および分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査のデータ分析を行い、伝統技能の育成者(支援者)の役割を明らかにする。また、子育て支援等の現場での援用を検討するために、支援現場でフィールドワークを行う。フィールドワークにおいては、コロナウイルスの問題で実施が不可能になることを想定し、WEB上のインタビュー調査等も視野に入れたい。
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