2022 Fiscal Year Research-status Report
ファミリーソーシャルワークにおける「子育て生活スキル伝承型」支援モデルの研究
Project/Area Number |
19K13987
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
西岡 弥生 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (30829403)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子育て生活スキル / 疑似家族的関係 / 成功体験 / ソーシャル・サポート / 生成継承的サポート / 特別養子縁組あっせん機関 / 妊産婦支援 / エンパワメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず【①伝統技能伝承の実践現場】のフィールドワーク及び半構造化インタビュー調査を基に、伝統技能伝承の育成者と継承者が伝統技能伝統を媒介に信頼関係を構築する疑似家族的関係において、育成者のソーシャル・サポートが継承者の「成功体験」を促し、自己肯定感を高める関わりを検討し、研究ノートにまとめ発表した。ここでは、情緒的サポート、所属的サポート、情報的サポート、評価的サポート、道具的サポート以外に、伝統技能を媒介に育成者と継承者が互いの経験を交わし、相互に成長しながら伝統技能の継承に取り組む「生成継承的サポート」が見出された。 次いで、【②母子支援の実践現場】の特別養子縁組あっせん機関において、妊産婦支援に携わる支援者を対象に実施した半構造化インタビュー調査を基に、妊産婦支援における取り組みを検討し、学会発表を行った。ここでは、〔特別養子縁組に子どもを託すことを考える女性の背景〕をふまえ、〔生まれた子どもに障害があったことで苦しむ女性に対する生活支援〕〔予期せぬ妊娠で孤立する女性に対する生活支援〕〔予期せぬ妊娠・出産・縁組をめぐり「困難な状況にある」女性が地域社会で生きていくための支援〕〔生まれた子どもを介して女性が新しいつながりを形成し未来を拓くための支援〕が見出された。総じて女性たちには、エンパワメントと生活支援が必要であることから、子育て生活スキルとは、家事・育児・対人関係スキルに留まらず、生活基盤を整え、社会資源を活用し、生活の糧を得るスキルであることが示された。 更に、研究者並び実務家で構成される児童福祉法研究会において本調査の報告を行い、専門家の方から忌憚のないご意見やご助言を頂き、支援もモデルを検討する際の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度:コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年度に予定していた【②母親支援の実践現場】におけるフィールドワーク並びフォーカスインタビューが実施できなかったため、代替として2021年度の年度末(2022年3月)に、特別養子縁組あっせん機関に在籍する主に妊産婦支援に携わる支援者を対象に、Zoom会議による半構造化インタビュー調査を実施した。 2022年度:2021年度の年度末(2022年3月)に実施した半構造化インタビュー調査の調査結果を、2022年9月の日本社会福祉学会の秋季大会で報告した。次いで、【①伝統技能伝承の実践現場】と【②母親支援の実践現場】の調査結果を統合させ、【③暫定的支援モデル】の知見を得るため、2022年度の終盤(2023年1月)に児童福祉法研究会で調査報告を行った。参加された専門家の方からは、本調査結果をふまえ、「子育ての社会化」に向けた忌憚のないご意見並びご助言を頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、本研究の最終目標である【①伝統技能伝承の実践現場】と【②母親支援の実践現場】から見出した知見を統合させた【③暫定的支援モデル】を検討し、学会発表もしくは学会誌に投稿することを予定している。
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Causes of Carryover |
2022年度に予定していた、学会発表を対面による参加が出来ずWEBでの参加になったため、旅費の必要がなくなり、次年度使用額が生じた。【①伝統技能伝承の実践現場】と【②母子支援の実践現場】の調査結果を統合させ、「子育ての社会化」に向けた【③暫定的支援モデル】を検討し研究論文を投稿するため、分析ソフトの更新費用、データの補足が必要になった場合などのインタビュー調査費用、図書費、学会参加費用等を、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。
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