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2021 Fiscal Year Research-status Report

障害者の平等権としての合理的配慮

Research Project

Project/Area Number 19K13990
Research InstitutionTeikyo Heisei University

Principal Investigator

村山 佳代  帝京平成大学, 現代ライフ学部, 講師 (20823066)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords合理的配慮 / 介護事故 / 人権保障 / 誤嚥 / 認知症 / 学校事故
Outline of Annual Research Achievements

2021年度は①国内での障害児の学習権保障、②精神障害者と介助者の権利、③アメリカにおける障害児の学習権保障、について研究を行った。
①障害児が給食介助中の誤嚥により重篤な脳障害を後遺した事故について分析をした。裁判所は既存障害が最重度の障害等級に該当するため、事故によって加重された障害に対して障害見舞金の支払いはないと判断をした。しかし、同判断方法を適用すると最重度の障害児はいかなる学校事故からも救済を得ることができないため、事故による障害によって失われた教育的利益について個別的に給付額を判断すべきである。これは『学校事故の法律実務』追録109・110号(新日本法規出版、2021年)において公表された。
また、特別支援学校において歩行訓練中の生徒が意識不明となり重篤な障害を負った事例において裁判所は養護教諭には救急車要請・AEDの使用が義務付けられていると判断をした。しかし、障害者権利条約の見地からいえば、養護教諭だけでなく全ての教職員が障害児に対して高度な事故防止・事故発生後の被害拡大防の措置を求められている。これは、学校事故の法律実務』追録111・112号(新日本法規出版、2021年)(印刷中)で公表される予定である。
②特別養護老人ホームに入所する認知症者が間食のドーナツを誤嚥し死亡した事故について看護師が起訴された2020年東京高裁判決の分析をした。これは「特別養護老人ホームにおけるケアと刑事責任」帝京平成大学紀要33(33)53-60で発表された。また、この研究をベースに認知症障害者の誤嚥事故全般について分析をするために介護保険法施行から現在までの誤嚥事故を総合的に分析をしている。
③日本社会福祉学会第69回秋季集会において発表をした。米国では障害児の適切な教育といは能力の最大限保障まで想定していることが明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウィルス感染症対策の影響により、アメリカ本国での意見聴取・現場調査・資料収集ができず、障害者当事者団体の現状についての研究に遅れが生じている。本研究は障害者権利条約のモデルであるアメリカ法の研究を行い、我が国への応用可能性を分析する研究であるため、同国への訪問が必要である。
なお、同国への渡航ができなかったが、①国内の認知機能に障害がある高齢者の誤嚥事故の判例分析及び、②国内の障害児の学校事故の判例分析を行った。当初、本研究は雇用・教育分野における合理的配慮の分析を計画していたが、①の結果、認知症高齢者に対する合理的配慮についても分析する必要性が生じている。

Strategy for Future Research Activity

本研究は合理的配慮の権利性を分析するために、障害者権利条約の母法であるアメリカ法の研究をメインとしている。しかし、新型コロナウィルス感染防止対策の影響によりアメリカへの渡航が難しく、アメリカの合理的配慮研究に遅れが生じている。2021年度は国内判例を中心に分析をおこなったが、2022年度はアメリカ渡航のタイミングをうかがいつつ、アメリカ判例の分析を継続する。特に、2022年度は障害児教育法が保障する「関連サービス」についての判例分析を行い、我が国の教育現場における介護・看護サービスについて争われた事例と比較をする。
また、精神障害を持つ高齢者の事故分析の結果、本研究は雇用・教育分野(障害のある労働者・障害児)の合理的配慮だけでなく、認知症高齢者への合理的配慮の判例研究をする必要性が生じた。従って、2022年度は、意思能力・行為能力についての判例を整理しつつ、認知症高齢者の自己決定権を保障する合理的配慮についても対象を広げる予定である。
最終的には、教育・雇用・高齢者の合理的配慮概念の整理を行い、合理的配慮の本質、権利性についてまとめたい。

Causes of Carryover

国内・国際学会への参加と、アメリカへのインタビュー調査・意見収集・資料収集・施設訪問をする予定であったが、新型コロナウィルス感染症対策のため国外出張、国内出張共に自粛せねばならない状況にあったため出張費と学会参加費が大幅に減少したため。
次年度は、アメリカの合理的配慮研究を進めるために、新型コロナウィルス感染症対策としての出国・入国規制の状況に見つつ、同国への訪問調査を計画している。従って、渡航費・滞在費・学会参加費・英文校正などの支出を予定している。また、本研究過程において、認知症高齢者への合理的配慮についての分析の必要性が判明したため、高齢者施設・高齢者福祉研究者への意見聴取や文献整理を行う計画である。同研究について文献購入・判例収集整理などの支出が想定される。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results) Book (3 results)

  • [Journal Article] 特別養護老人ホームにおけるケアと刑事責任2022

    • Author(s)
      村山佳代
    • Journal Title

      帝京平成大学紀要

      Volume: 33 Pages: 53-60

    • Open Access
  • [Presentation] 障害児の学習権保障と合理的配慮:アメリカの障害児教育法( IDEA )の判例分析を中心に2021

    • Author(s)
      村山佳代
    • Organizer
      日本社会福祉学会第69回秋季大会
  • [Book] 問答集学校事故の法律実務追録第109・110号2022

    • Author(s)
      兼子仁, 伊藤進
    • Total Pages
      加除式
    • Publisher
      新日本法規出版
  • [Book] 問答集学校事故の法律実務追録第111・112号2022

    • Author(s)
      兼子仁, 伊藤進
    • Total Pages
      加除式
    • Publisher
      新日本法規出版
  • [Book] そのままの心で、ともにいる力2022

    • Author(s)
      藤田 益伸, 永浦 拡
    • Total Pages
      248
    • Publisher
      学術研究出版

URL: 

Published: 2022-12-28  

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