2019 Fiscal Year Research-status Report
職場の合理的配慮が精神障害者の職業継続に及ぼす効果
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19K13991
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
若林 功 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (20714934)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 職業継続 / 合理的配慮 / 職業リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、精神障害者の一般企業での就労は進展してきているものの、他の障害種類に比べ職場定着率が低いことが指摘されている。また、精神障害者の職業継続のために有効であると考えられる、事業主から提供される職場における合理的配慮の効果に関する実証的研究はこれまで進められていない。そこで、本研究は、文献研究や半構造化面接、またそれより得たデータの質的分析に基づいて、合理的配慮を把握・測定するための尺度の開発、その尺度による質問紙調査を実施することにより、職場における合理的配慮が精神障害者の職業継続に影響を及ぼしているのか、量的観点から明らかにすることを目的としている。 初年度である2019年度は、文献研究(系統的レビュー)や半構造化面接、またそれより得たデータの質的分析を行う予定であった。2019年度の実績としては、理論的な観点から論文を作成し投稿され、雑誌に掲載されたことが挙げられる。この論文では、合理的配慮の職業継続に及ぼす効果を明らかにすることで、合理的配慮には権利擁護の側面があることに加え、職業継続に有意義であるという実利的側面もあることを指摘した。 一方で、2019年度は合理的配慮を捉えることのできる尺度開発に向けた半構造化面接まで進められていない。今後、合理的配慮について適切に捉えることのできる尺度開発に向けた活動(半構造化面接、先行研究(海外)の尺度の確認等)を進めていくとともに、量的調査に向けて、量的検討に必要なサンプル数を勘案した調査対象候補リストの作成や、調査を実施していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は理論的な検討は行ったものの、本研究の主眼点である量的調査のための尺度開発まで行えていないため。今後、合理的配慮について捉えることのできる尺度開発に向けた活動(半構造化面接やその分析等)、及び調査対象のリストアップ、調査の実施、と進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新型コロナウィルスによる社会の状況にも留意しつつ、尺度開発に向け半構造化面接を進める。また、質問紙調査を行った際の回収率等も勘案しながら、統計解析に必要なサンプル数を判断し、量的調査の対象のリストアップ、さらには調査の実施、と進めていくこととしたい。
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Causes of Carryover |
半構造化面接のための訪問調査の進捗が遅れており、旅費・謝金の支出が少なくなっている。
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