2021 Fiscal Year Research-status Report
職場の合理的配慮が精神障害者の職業継続に及ぼす効果
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19K13991
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
若林 功 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (20714934)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 職業継続 / 合理的配慮 / 職業リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、統合失調症等の精神障害者の一般企業での就労は進展してきているものの、他の障害種類に比べ職場定着率が低いことが指摘されている。また、精神障害者の職業継続のために有効であると考えられる、事業主から提供される職場における合理的配慮の効果(特に職場定着や職務満足度等)に関する実証的研究はこれまで進められていない。そこで、本研究は、文献研究や半構造化面接、またそれより得たデータの質的分析に基づいて、合理的配慮を把握・測定するための尺度の開発、その尺度による質問紙調査を実施することにより、職場における合理的配慮が精神障害者の職業継続に影響を及ぼしているのか、特に量的観点から明らかにすることを目的としている。 3年目である2021年度は、予備調査的に半構造化面接及び尺度開発を行い量的調査に着手する予定であったものの、量的調査には進めることができなかった。一方、量的調査を進める上で質問紙の設計に有用となる半構造化面接については進めることができた。そして、精神障害者の職場における合理的配慮については、合理的配慮だけではなく、合理的配慮実施に関わる様々な要素(配慮を受けることで障害者本人の感じる心理的負債感、障害者本人の捉える職場への貢献の感覚と提供されている合理的配慮のバランス等)が、障害者雇用枠で働く精神障害者の職場適応に影響を与えていることを把握することができた。今後、これらの知見に基づいた調査票を設計し、量的調査を実施していくこととする。 なお、関連業績として、精神障害者のカテゴリーに含まれるアルコール等の依存症者への一般就労への支援を含めた就労支援の実際、また職場における同僚からのサポートについて論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの影響が大きく、量的研究の前提である予備調査(半構造化面接)までしか進められていないため。今後、職場における合理的配慮の内容及び合理配慮実施に関わる要因(障害者本人の感じる心理的負債感等)の項目を含めた質問紙の開発及び調査の実施を行っていくこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新型コロナウィルスによる社会の状況にも留意しつつ、半構造化面接の結果に基づいた概念モデルを作成し、質問紙の開発及び調査の実施を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響のため、研究全体の進捗が遅れて研究計画を1年延長している。2022年度はコロナウイルスの影響も勘案しつつ、適切に研究(特に質問紙調査)を進める必要があり、この質問紙調査の実施に予算を使用する予定である。
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