2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の健康関連QOLを高める生活行動意識アセスメントと支援方法の構築
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19K13992
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
鹿田 将隆 常葉大学, 保健医療学部, 講師 (20782189)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地域在住高齢者 / リハビリテーション / 健康関連QOL / 質問紙 / 生活行動 / 作業療法 / 作業同一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,地域生活を送る要支援・要介護高齢者の生活行動の意識を聴取する高齢者版生活行動意識アセスメントを開発することと,それに基づいたリハビリテーションサービスを提供するための支援方法を構築し,そのマニュアルを作成・公開することである. 2020年度は,地域生活を送る要支援・要介護高齢者の生活行動の意識を調査するための高齢者版生活行動意識アセスメント案の信頼性・妥当性の検証を行った.介護保険の通所系サービス,または,訪問系サービスを利用する要支援・要介護高齢者に調査用紙を配布した.収集したデータをもとに,探索的因子分析と確認的因子分析を実施した結果,3因子14項目の因子構造が確認できた.次に,構造的妥当性を検討するために用いたRasch評定尺度モデルでは,14名の参加者と1項目において適合基準を満たさなかったが,おおむね良好な結果であった.基準関連妥当性では,生活行動の意識を評価する他の評価法である作業遂行歴面接の作業同一性尺度を用いた.Spearmanの順位相関係数を算出したところ,高齢者版生活行動意識アセスメント案と作業同一性尺度の間に弱い相関が示された.内的一貫性は,対象者分離指数は2.30,対象者分離信頼性係数は0.84であり,良好な結果であった.以上の結果より,高齢者版生活行動意識アセスメント(高齢者版作業同一性質問紙)が完成した. さらに,本アセスメントを用いた事例検討を行った.対象者は,通所リハビリテーションと訪問看護ステーションを利用する要支援・要介護高齢者3名であった.その結果,対象者3名の生活行動の意識,日常生活活動・手段的日常生活活動,および健康関連QOLに維持や改善がみられた.したがって,本アセスメントは,対象者の生活行動の意識をとらえることができ,活動と参加を促進する実践に有用であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度中より,研究対象者に高齢者版生活行動意識アセスメント案の調査用紙を配布することができたため,研究データを予定よりも早く集めることができた.このため,当初の計画以上に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者版生活行動意識アセスメントを使用したリハビリテーションプログラムの有用性を検討するために,パイロットスタディを実施する.
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Causes of Carryover |
研究成果について複数の学会で発表する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の拡大によりオンライン開催となり,余剰が生じたためである.生じた残額は,次年度に行うパイロットスタディで必要となる備品や研究活動報告の旅費で使用する.
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