2020 Fiscal Year Research-status Report
自立生活運動と事業の展開における非障害者のソーシャルワーク実践に関する研究
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19K13993
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
伊藤 葉子 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (80319144)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自立生活センター / 障害者運動 / シティズンシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
・2019年度に実施した愛知県下における自立生活センターの設立時に着目した聞き取り調査を元に、県下自立生活センターの定着過程についての論考をまとめた。その定着過程は、1970年代半ばから始まった障害当事者同士による対等な関係の構築とロールモデルとの出会い、障害当事者自身による地域間格差の解消、地域生活の実現と法制度の整備に呼応する事業化が見て取れた。また、障害当事者運動の組織化を目的に応じて変化させるとともに、県外の当事者団体との交流や研修の機会が影響していることが明らかとなった。 ・障害当事者運動における「私たち抜きに私たちのことを決めないで」のスローガンにあるように、障害当事者自身が社会参画していくことでのシティズンシップ獲得について、国内法だけでなく地方自治体レベルにおける参画の実際について検討を行った。その内容を研究会報告として実施するとともに、同報告を元に論考をまとめた。なかでも、障害者権利条約採択以降の国内外の法整備は、地方自治体の条例制定に大きな影響を与え、当事者組織は意見陳述相手と言うよりもむしろ、策定過程に大きく関与する傾向にあることが明らかとなった。 ・新型コロナウイルス感染拡大もあり、現場実践者に対するアンケート調査の検討、実施などについては、感染拡大防止の観点からフィールドに立ち入ることが難しく、思うように進められていない現状にある。研究に協力いただく現場ソーシャル-ワーカーらの事情を加味しながら、webアンケートの活用などの検討、打ち合せを継続的に行っている状況にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
・2020年度においては、2019年度の愛知県下における自立生活センターの定着過程を踏まえ、中心的障害当事者団体および事業体である法人において職員アンケート調査を実施するとともに、個別の聞き取り調査を進める予定であった。 ・2019年度末以降の新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言や研究機関におけるオンライン化対応等、本研究に着手する以前の他業務における対応を余儀なくされた。さらに、感染防止を徹底しながら事業継続を推進しなければならない社会福祉実践現場との調査内容の打ち合せ、検討は思いのほか困難を極め、アンケート調査実施には至っていない。こうしたこともあり、大幅に遅れている現状にある。
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Strategy for Future Research Activity |
・2020年度末(2021年3月)より、調査対象となる法人とアンケート調査の内容および方法について細かな打ち合せを実施している。障害当事者と直接、接する業務に当たる職員に対するアンケート調査は、紙媒体の配布によるものよりはむしろwebアンケートによる実施にすると回収率も高くなることが予想されるため、その設計等を進める必要がある。 ・また、アンケート調査を元にした聞き取り調査についても、対面ではなく、オンラインを活用するなど、その方法について検討した上で研究の推進を図りたい。
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Causes of Carryover |
・2020年度実施予定であった社会福祉実践現場における職員アンケートの実施、アンケート実施後の個別聞き取り調査が、新型コロナウイルス感染拡大にともなう公務の多忙化や実践現場における感染防止策に伴い、現場に立ち入ることができず、進めることができなかったことによる。 ・2020年度末より、2021年度にwebアンケートやwebによる聞き取り調査も含めて進められるよう打ち合せ、検討を進めている。まん延防止等重点措置の実施や今後も緊急事態宣言があり得るが、2021年度においては調査方法に改善を加えつつ研究を推進予定である。
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Research Products
(2 results)