2019 Fiscal Year Research-status Report
自殺率の高い離島の市における自殺の現状分析と自殺防止に関する研究
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19K14003
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Research Institution | Nagasaki Wesleyan University |
Principal Investigator |
波名城 翔 長崎ウエスレヤン大学, 現代社会学部, 講師 (70768811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自殺 / 小規模離島 / 島外機関との連携 / 自殺手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
離島の市町村の現状について明らかにしていくために、橋等で本土とつながっていない離島63市町村(8市31町24村)を対象に厚生労働省が公表している「地域における自殺の基礎資料」の2010年から2018年までの資料から統計データを作成した。更に、沖縄県伊江村において自殺予防に向けた取り組みのインタビューを行った。 63市町村の自殺者の推移は、2010年179人、2011年195人と増加していたが2012年以降は130人から140人の間で推移し2018年には102人まで減少していた。対象期間において、自殺者が0人の島は10村で東京都1村、鹿児島県2村、沖縄県7村であった。 2018年に自殺者が存在した市町村は、28市町村であり、8市7町では毎年自殺者が存在していた。また、2017年との比較では6市4町は自殺者が横ばいあるいは前年度より増加していた2018年の人口10万対自殺率は、5市4町が全国より高かった。自殺者数が前年度より増加し且つ自殺率が高いのは、香川県1町、長崎県3市、鹿児島県1市1町であった。 離島の統計データの全国との比較では、自殺者の70歳以上の割合(34%)「同居人有」の割合(73%)、自殺手段の「首つり」の割合(80%)が全国と比較して高く、また、自殺場所は、「自宅等」は56%と全国(63%)より低いことが明らかになった。 伊江村においては、専門の精神科医療機関がない中で、保健師が中心となって支援や連携体制を構築することで、自殺予防対策を行っていた。 2017年に自殺対策大綱が閣議設定され、自殺総合対策における当面の重点施策として12の施策が示された。精神保健医療福祉サービスや民間団体などの社会資源が乏しい離島においては行政を中心とした支援体制の構築が求められることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画においては、厚生労働省が管理する人口動態調査(基幹統計調査)死亡票を平成20年から30年の10年間分取り寄せ分析を行う予定で早期から調整していたが、統計法の改正や厚生労働省担当職員の病休により、今年度中に取り寄せることが出来なかったたため。代用としては一般に公表されている、地域における自殺の基礎資料基に作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
人口動態調査(基幹統計調査)死亡票については書類申請が完了し、近日中に提供されるため、早期に分析を行う。また、分析結果を基に自殺予防のアンケート調査準備を行い実施する。今年度行う予定であった、自殺が少ない島への訪問については、現在、新型コロナウイルスの影響で受け入れが困難となっているため動向を見ながら推進していきたい。
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Causes of Carryover |
厚生労働省からとりよせる情報について、キャビネット等の備品を購入する必要があるが、今年度での情報提供が困難となったためキャビネット等の備品を今年度は購入せず、次年度に延期したため。
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