2019 Fiscal Year Research-status Report
国産ササゲ豆の機能性成分のプロファイル解析と加熱加工時における成分動態の解明
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19K14021
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
折田 綾音 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (20828173)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ササゲ豆 / 豆類 / 一般成分 / ファイトケミカル / アントシアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、国産ササゲ豆の一般成分とファイトケミカルのプロファイリングにより海外産ササゲ豆との特性比較をおこなうとともに、ササゲ豆の加熱による成分変化を解明することを目的とする。この研究の遂行により国産ササゲ豆の特徴を明示し、ファイトケミカルを量的質的に効率よく摂取できる加熱手段を提示することを目指している。 本年度は、ササゲ豆の一般成分とファイトケミカルのプロファイリングをおこなうために、国内産と外国産ササゲ豆を入手し、一般成分を測定およびファイトケミカルの分析を遂行した。 1.ササゲ豆の一般成分の測定:一般成分において、水分、脂質、灰分の含量は、国産ササゲ豆と海外産ササゲ豆に差異は認められなかった。国産と海外産で含量に差があった項目は、たんぱく質およびナトリウムの含量であり、ともに国産が海外産と比較して高い傾向を示した。特に、ナトリウムの含量は国産の内、沖縄県産が顕著に高い値を示した。 2.ササゲ豆のファイトケミカル分析:国産および海外産の赤ササゲ豆には、シアニジンおよびマルビジン配糖体のアントシアニンが含有されることを確認したが、国産および海外産に共通して、含まれるアントシアニンは微量であった。黒ササゲ豆には、シアニジン、デルフィニジンの他5種類のアントシアニンが含まれることを確認し、含まれるアントシアニンの種類は赤ササゲ豆と比較して多かった。ササゲ豆に含有されるファイトケミカルについて現在も分析を続けており、一般成分の測定およびファイトケミカルの分析で得られた結果は、次年度以降に解析をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ササゲ豆の一般成分とファイトケミカルのプロファイリングをおこなうために、国産および海外産のササゲ豆を入手した。国内産のササゲ豆は、国内で流通している種皮色が赤色および黒色のササゲ豆(産地:岡山県、沖縄県)、海外産のササゲ豆は、主要な輸入産地である赤ササゲ豆(産地:中国)および黒ササゲ豆(産地:タイ)を選定した。 一般成分は、入手したササゲ豆の水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、エネルギー、ナトリウム、カルシウム、葉酸の計9項目を選び測定した。測定の結果、国産と海外産のササゲ豆で含量に差が認められた項目は、たんぱく質およびナトリウムであり、国産は海外産と比較して含量が高い傾向を示した。試料として選定した国産および海外産のササゲ豆の一般成分の測定は、予定通りに遂行しており、令和2年度中に解析を終了する予定である。ササゲ豆に含有されるファイトケミカルは、アントシアニンを分析した。分析の結果、種皮色が黒色および赤色のササゲ豆に含まれるアントシアニンの種類、および、その含量は黒ササゲ豆が赤ササゲ豆と比較して高いことを明らかとしている。ササゲ豆に含有されるファイトケミカルについては、引き続き、分析および解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題1 サゲ豆の一般成分とファイトケミカルのプロファイリングでは、高速液体クロマトグラフおよび高速液体クロマトグラフ-質量分析計を用いて、フラボノイド類およびプロアントシアニジン類の分析をおこなう予定である。また、令和元年度の結果と併せて、一般成分とファイトケミカルについて得られたデータを多変量解析することにより、国産ササゲ豆と海外産とを比較するとともに、国産ササゲ豆の産地間差異の検討をおこなう予定である。 研究課題2 産ササゲ豆の加熱加工におけるファイトケミカルの動態を解明では、入手した国産ササゲ豆について、国内で一般的な加熱手段である「煮る・炒る・蒸す」等の加工をおこない、加熱加工条件の設定をおこなう予定である。また、加熱加工条件の設定が終了し次第、研究課題1での手法に準じて測定を遂行し、ササゲ豆の加熱加工前後で減少もしくは増大したファイトケミカルの種類と変化量を明らかにするとともに、新たに発現する分子種を探索する予定としている。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた分析試薬、標準試薬の購入費が少なく済んだため。
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