2019 Fiscal Year Research-status Report
親子の調理技術向上の介入による生活習慣および心身の健康への影響に関する研究
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19K14029
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70735422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 調理頻度 / 子ども / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人疾患の多くは食事、運動、睡眠などの生活習慣に起因している。そして成人してからの生活習慣の変容は困難であり、生活習慣が形成される子ども期からの介入が求められている。最近の研究で、調理技術の貧弱さが食習慣および食事内容に影響を与えることが知られているが、子どもの心身への健康影響を評価した研究はきわめて少ない。そこで本研究では、家庭での調理技術や調理頻度といった食環境が子どもの心身の健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。2019年度は、家庭での調理と子どもの心身への影響について、文献レビューを行った。さらに、東京都足立区の子ども(小中学生)とその保護者を対象とした調査データを用いて、家庭での調理頻度と子ども心身への影響について解析を進めた。肥満との関連については、小学校4年生を対象としたデータを用いて、学校健診データから得られた身長体重の実測値から算出したBMIのzスコアの2SD以上を肥満と定義し、家庭での保護者の調理頻度との関連を解析し、国際誌に論文を発表した。その結果は、家庭での保護者の調理頻度が低い子どもは、家庭での保護者の調理頻度が高い子どもと比較して、肥満リスクが2.27倍(95%信頼区間1.16-4.45)と統計的に有意な関連を示した。潜在的な媒介因子として子どもの食行動(野菜摂取頻度、朝食欠食、間食習慣)を調整すると、家庭での保護者の調理頻度が低い子どもは、家庭での保護者の調理頻度が高い子どもと比較して、肥満リスクが1.90倍(95%信頼区間0.95-3.82)となり、有意な関連がなくなった。この結果より、家庭での調理頻度が少ないことは子どもたちの肥満と関連しており、この関連は不健康な食行動によって説明されるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、家庭での調理と子どもの心身への影響について文献レビューを終えている。さらに、東京都足立区の子どもとその保護者を対象とした調査データを用いて、家庭での調理頻度と子どもの肥満との関連について論文化することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き調査データの整備及び文献レビューを行うとともに、家庭での調理状況および保護者の調理技術と子どもの心身への影響(心血管リスクやメンタルヘルス)との関連について解析し、論文化を進める。子ども心血管リスクは血圧やコレステロール値など、メンタルヘルスは、問題行動(Strength and Difficulty Questionnaire (SDQ))とレジリエンス(Children’s Resilience and Coping Scale (CRCS))との関連をみる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況により、参加を予定していた学会を1つ見送ったため、その分の出張費を次年度へ繰り越すこととした。
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Research Products
(2 results)