2020 Fiscal Year Research-status Report
親子の調理技術向上の介入による生活習慣および心身の健康への影響に関する研究
Project/Area Number |
19K14029
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70735422)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 調理頻度 / 心血管リスク / 問題行動 / レジリエンス / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
成人疾患の多くは食事、運動、睡眠などの生活習慣に起因している。そして成人してからの生活習慣の変容は困難であり、生活習慣が形成される子ども期からの介入が求められている。最近の研究で、調理技術の貧弱さが食習慣および食事内容に影響を与えることが知られているが、子どもの心身への健康影響を評価した研究はきわめて少ない。そこで本研究では、家庭での調理技術や調理頻度といった食環境が子どもの心身の健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。2020年度は、東京都足立区の子どもとその保護者を対象とした調査データを用いて、家庭での調理頻度と子ども心血管リスクおよびメンタルヘルスへの影響について解析を進め、国際誌に論文を発表した。心血管リスクとの関連については、中学校2年生を対象としたデータを用いて、学校健診データから得られた血圧、血清コレステロール(総コレステロール、LDLおよびHDLコレステロール)、ヘモグロビンA1c、および肥満度指数との関連を解析した。その結果、家庭での調理頻度が少ない中学生は、家庭での調理頻度が多い中学生に比べて、より高い拡張期血圧およびより低いHDLコレステロール値を示した。メンタルヘルスとの関連については、小学校4年生を対象としたデータを用いて、子どもの問題行動とレジリエンスとの関連を解析した。その結果、家庭での調理頻度が低いおよび/または中程度の子どもは、家庭での調理頻度が多い子どもに比べて、行動の問題が多く、レジリエンスが低かった。この関連性は、子どもの食事行動および保護者と子どものかかわりによって媒介されました。これらの結果より、保護者が家庭で調理をすることを奨励する環境づくりが、子どもの心血管リスクやメンタルヘルスにとって重要かもしれない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、家庭での調理と子どもの心身への影響について、家庭での調理頻度と子どもの心血管リスクおよびメンタルヘルスとの関連について国際誌に論文を発表することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
保護者の調理技術の測定方法を確立し、保護者の調理技術が子どもの心身に及ぼす影響について解析し、論文化を進める。
|
Causes of Carryover |
予定していた学会参加を見送ったため、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(3 results)