2021 Fiscal Year Annual Research Report
親子の調理技術向上の介入による生活習慣および心身の健康への影響に関する研究
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19K14029
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (70735422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 調理技術 / 調理頻度 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人疾患の多くは食事、運動、睡眠などの生活習慣に起因している。そして成人してからの生活習慣の変容は困難であり、生活習慣が形成される子ども期からの介入が求められている。最近の研究で、調理技術の貧弱さが食習慣および食事内容に影響を与えることが知られているが、子どもの心身への健康影響を評価した研究はきわめて少ない。そこで本研究では、家庭での調理技術や調理頻度といった食環境が子どもの心身の健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。2021年度は、東京都足立区の子どもとその保護者を対象とした調査データを用いて、保護者の調理技術が子どもの食行動及び体重に及ぼす影響について解析を進め、国際誌に論文を発表した。調理技術の測定については、海外の調理技術質問票を参考に、日本で使用できるよう、日本の調理技術の基本である五法(切る、煮る、焼く、蒸す、揚げる)及び和食の基本である一汁三菜の考え方と使用頻度を考慮して作成した。作成した調理技術スケールは、母親で高いスコアを示し、父親では低いスコアを示した。保護者の調理技術と調理頻度の関連を調べたところ、調理技能の低い保護者は、調理技能の高い保護者に比べて家庭での調理頻度が少なくなる(週に3日未満)リスクが4倍だった。次に、保護者の調理技術と子どもの食行動及び肥満との関連を見ると、調理技術の低い保護者を持つ子どもは、野菜の摂取頻度が低くるなるリスクが3倍、肥満リスクが2倍だった。これらの結果より、保護者の調理技術の低さが、家庭での調理頻度の少なさ、子どもの不健康な食事行動、子どもの肥満のリスクとなることが示唆された。保護者が適切な調理技術を持つことが、子どもの不適切な食行動や肥満リスクの軽減にとって重要かもしれない。
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