2021 Fiscal Year Research-status Report
母マウスの食餌誘導性肥満が仔マウスの「免疫老化」に及ぼす影響
Project/Area Number |
19K14036
|
Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
今井 敦子 相模女子大学, 栄養科学部, 講師 (00580086)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 母子 / 高脂肪食 / 炎症 / DOHaD / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、妊娠中の栄養環境による出生仔マウスへの影響について、特に高脂肪食の影響が老齢期の免疫・代謝機能に及ぼす影響に着目して解析を行っている。 2020年度までに、妊娠期から授乳期に高脂肪食を摂取した母マウスから出生した仔マウスの老年期の解析において、胸腺の組織重量の低下、さらに敗血症の実験モデルであるLPS投与によるエンドトキシンショック誘導に対する応答性を変化させる可能性を示した。さらに、LPS投与時の脾臓細胞のHSP発現が有意に増加した。母マウスの高脂肪食摂取は、加齢やエンドトキシンショックに対する免疫細胞のHSP発現を変化させることで、出生仔マウスの老齢期の病態に影響を及ぼす可能性が示された。 本年度も引き続き、老齢期仔マウスの免疫・代謝指標について検討を行った。母マウスが高脂肪食を摂取した仔マウスの老齢期において、炎症性サイトカインであるオステオポンチンの血中濃度が有意に高値を示した。このことから、老齢期に生じる免疫機能の変化の重要な特徴の一つである炎症素因の増大が、妊娠中から授乳期の高脂肪食摂取により増強する可能性が示唆された。オステオポンチンは肥満(脂肪組織重量の増加)によっても増加すると報告されているが、本研究では脂肪組織重量との関連は認められなかった。 妊娠中の栄養環境の変化が仔マウス老齢期の免疫・代謝機能に及ぼす影響について、脂肪組織と骨格筋についても検討を進めることが必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度まで母マウス高脂肪食摂取が中齢期および老齢期仔マウスに及ぼす影響を検討してきたが、若齢期の検討が十分でなく、動物実験が必要であるが、コロナウイルス感染拡大により動物実験に制約があり進められていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、母マウス高脂肪食摂取の影響を仔マウスの脂肪組織・肝臓・免疫細胞に加え、骨格筋も検討する計画である。DOHaDで着目される妊娠中の栄養環境の影響について、骨格筋機能の変化を含めて検討する。
|
Causes of Carryover |
老齢期マウスのサンプル解析が実験人員の確保等が難しく遅れてしまったこと、そのため、若齢期解析のための再度の動物実験を行う見通しが立たず、マウス飼育関連や免疫解析試薬などの購入に至らなかったこと、組織解析のための病理組織標本作成の依頼が遅れていることが主たる要因である。遅れている若齢期解析のマウス飼育をスタートさせて免疫・代謝関連解析を行い、病理組織標本作成も順次進めていく計画である。
|