2019 Fiscal Year Research-status Report
中華圏における労働・福祉と教育に関する研究:地域を基盤とした教育活動の検討
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19K14050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
肖 蘭 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任助教 (50730793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生涯学習 / 成人教育 / 香港返還 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に政策文書、先行研究等の文献調査を中心に研究を進めた。香港と台湾に関する研究成果をそれぞれ論文と学会発表の形で公表した。 香港に関しては、産業構造の転換、及び植民地返還前後の社会変化を軸に、香港の成人教育と生涯学習の変容を考察した。特に成人教育・生涯学習の発展における政府の役割に焦点を当てて明らかにした。具体的には、香港の政府、民営教育機関、非政府組織等の多様なセクターとの連携関係に基づいたネットワークから成り立つものである。また、返還前に比べて、従来の自由放任主義に基づく政府の「積極的不関与」の政策方針は、次第に「積極的関与」に変化していることもうかがえる。他方、経済活動に関しては、依然として市場メカニズムとなるため、教育の面においてもパブリック・セクターとプライベート・セクターの境界線はさほど明確ではない。このように、香港における政府と非政府組織などの多様なセクターの連携に基づく体制が、お互いに分立しながら制限し合ってバランスを保っている、という香港の生涯学習の特質を明らかにした。 台湾に関しては、2016年に教育部が公布した「新南向人材培育推動計画」により、「産業志向から人材育成へ」という方針に基づき、奨学金の提供、教育資源の拡充、ASEAN・南アジア諸国の留学生受け入れの拡大、新住民二代の教育支援等々、高等教育から基礎教育まで幅広い教育改革が行われるようになった。特に、新住民の母語教育の促進の取り組みとして、新住民の女性の就労支援と組み合わせて取り組んでいることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は政策文書、先行研究等の文献調査は予定通り進んだ。 一方で、2月と3月に実施される予定のフィールド調査は新型コロナウィルスによる出入国の制限のため、実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は文献調査を実施するとともに、香港、マカオ、台湾、北京におけるフィールド調査を計画的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度末は出入国制限のため、フィールド調査に予定される旅費が執行できなかった。 今年度に実施できなかった香港と台湾の調査については、次年度に積極的に計画する予定である。
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Research Products
(4 results)