2022 Fiscal Year Research-status Report
中華圏における労働・福祉と教育に関する研究:地域を基盤とした教育活動の検討
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19K14050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
肖 蘭 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任講師 (50730793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成人学習 / 高齢者 / 社会参加 / 就労支援 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に政策文書、先行研究等の文献調査、およびオンラインでの聞き取り調査を通して研究を進めた。 中国大陸地区では、主に高齢者の再就職について調査を行った。中国では、2018年から「銀齢計画」を制定し、退職教員が西部の農村地域の学校に再就職し、農村の教育発展を支援する取り組みを始めた。本取り組みは、都市と農村の義務教育のバランスの取れた発展を促進することが本来目的であるが、高齢化が進む中国社会において、高齢者の豊かな経験と知識・技能を生かし、生きがいと社会参加を促進する役割も有することがわかった。 香港と澳門に関しては、引き続き植民地返還前後の社会変化を軸に、近年の成人教育と生涯学習の変容について情報収集を行い、特に両地域の相違点の比較に重点を置いて考察を行った。香港と澳門は両方とも植民地であったが、植民地時代の教育、植民地政府の政策方針および返還後の発展方向等が異なるため、国民の教育やアイデンティティにも相違が見られる。このような観点から、成人学習と民主性との関連について考察を行った。 台湾に関しては、2016年により施行された「新南向人材培育推動計画」に基づいた教育実践、特にASEAN・南アジア諸国からの新住民の母語教育の促進の取り組みの進捗状況について確認し、学校教育における英語教育との齟齬について確認できた。また、新住民の女性の自立支援と組み合わせて取り組んでいる実態と効果について検証を行った。以上の研究成果をこれから学会発表と論文投稿の形で公表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍が落ち着く方向を予想して、フィールド調査の計画を立てて、調査先の研究協力者とも調整を行ってきたが、2023年1月になっても渡航制限が解除されず、何度も延期した結果、今年度の現地調査を断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年3月から中国、香港および澳門への渡航制限が解除されたため、これまで実施できなかったフィールド調査を積極的に行い、これまでの文献調査、およびオンラインでのインタビュー調査を通じて得られた情報に合わせて研究成果の取りまとめを行う。台湾調査に関しては、まだ中国パスポート所持者に対する渡航制限が解除されないため、状況の改善に注視してフィールド調査を可能性を探りつつ、これまでの文献調査、およびオンラインでのインタビュー調査を通じて得られた情報に基づいて研究成果を取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
調査先における出入国制限のため、フィールド調査に予定される旅費と調査協力者への謝金等が執行できなかった。 今年度に実施できなかった調査については、次年度に積極的に計画する予定である。
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