2023 Fiscal Year Research-status Report
中華圏における労働・福祉と教育に関する研究:地域を基盤とした教育活動の検討
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19K14050
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
肖 蘭 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任講師 (50730793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 成人教育 / 教育政策 / アイデンティティ / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、移民労働者の失業や不安定就労などの労働問題の解決に向けて、コミュニティにおいて労働と福祉と教育の分野が連携して総合的な教育実践を行うことにより、労働者個々人の自立と自己形成とともに、持続可能な地域づくりないし社会づくりを実現していくシステムと理論を明らかにすることである。今年度は主に文献調査と聞き取り調査を中心に研究を進めた。 香港と澳門に関しては、特に両地域における相違点の比較に重点を置いて歴史的な考察を行った。香港と澳門は両方とも植民地であったが、植民地時代の教育、植民地政府の政策方針および返還後の発展方向等が異なるため、国民の教育やアイデンティティにも相違が見られる。これは、それぞれの制度的伝統が、フォーマル教育とインフォーマル教育の展開の違いにつながっており、社会の異なる態度を形成したと考えられる。したがって、過去50年間にわたる香港とマカオの教育政策を通じたアイデンティティ形成の違いについて分析を行った。 その際は、教育機関の発展、 経済発展、 そして人口動態の発展と移民の影響という3つの側面に注目して分析を行い、成人学習と民主性との関連について考察を行った。 台湾に関しては、引き続き新住民の女性の自立支援と新住民の母語教育の促進の取り組みの進捗状況について調査をした。学校教育カリキュラムにおける新住民の母語教育の導入は、台湾の経済戦略にとって有益な一方で、新住民の台湾アイデンティティの構築にネガティブな影響も及ぼしていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象地域の移民問題や成人学習の課題等について聞き取り調査を通して明らかにした。 ただし、調査のタイミングによって、成果をまとめて学会や研究会において情報発信や意見交換ができなかったことは、今後改善すべき点だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した文献調査と聞き取り調査をもとに、学会発表と論文執筆に積極的に取り組む。 また、最終年度であるため、これまでの調査成果を取りまとめ、総合的に政策的提言を行い、労働者の職業教育について地域と福祉の側面からの意義を照らし出し、労働、福祉と教育を融合する新たな社会教育・成人教育学理論を構築を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は個人的に体調不良のせいで、現地調査は渡航せずオンラインで実施することとしたため、予定していた旅費は全額執行できなかった。 来年度はできるだけ現地に赴き、フィールド調査を行うとともに、最終年度であるため、研究成果を取りまとめ、実施報告書を発行する予定である。
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Research Products
(1 results)