2019 Fiscal Year Research-status Report
戦後教育財政法制に関する日米の歴史研究-ナショナル・ミニマム保障の観点から-
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19K14057
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Research Institution | Tohoku Seikatsu Bunka College |
Principal Investigator |
宮澤 孝子 東北生活文化大学, 美術学部, 講師 (10836448)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育財政 / 教育条件整備 / 教育行政 / 教育制度 / 戦後教育改革 / 最低基準 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後教育改革において、①主に米国に由来する教育財政の理論と制度が日本に受容された過程、および、②それらが戦後いかにして展開したのかを明らかにすることにあった。 ①については、戦後教育改革期における教育財政改革の指導にあたったモーガンの他、3名の教育財政改革指導担当官が戦後日本の教育財政制度を構想した中心的人物であると推測しており、関係者による記録文書を収集している。今年度は、モーガン他2名分の報告書(GHQ/CIEのConference Reports)の収集を9月に完了し、分析に入る段階である。 ②については、戦後日本において展開した教育財政改革の背景にある1920年代の米国教育財政改革を分析対象としていた。主にカリフォルニア州教育財政改革を分析対象としていたが、資料を調べる過程において、GHQ内部組織におけるCIE以外の部局関係者についても調査の必要性が浮上したため、メリーランド大学ホーンベイク図書館への調査を予定した。国立国会図書館では未だ公開されていない文書や、資料収集を行う予定であった。出張は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で中止となった。 3年目以降に予定していたナショナル・ミニマム保障に関わる教育条件整備の理論的検討については、上記資料収集・分析と並行しながら、戦前と戦後の教育条件整備行政組織の比較分析の段階に入ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度上半期までに予定していたCIE教育財政担当官の報告書(Conferernce Reports)の収集を完了し、分析に入ることができている。また、教育条件整備行政組織の理論的系譜を戦前から明らかにすることを試み、その一部の成果を発表した。 しかしながら、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響を受けて米国メリーランド大学ホーンベイク図書館への調査研究出張を中止することとなったため、予定していた研究進捗状況よりも遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に予定していた米国での調査研究出張の遅れを取り戻すべく、各国の状況を見ながら出張の日程を再調整し、遅滞なく調査を行っていく。また、日程が組めるまでの間に、国内で収集できる関連資料については十分に下調べを行い、米国調査の準備を整える。 また、研究計画3年目以降のナショナル・ミニマム保障に関わる教育条件整備の理論的検討、ニューディール政策と戦後日本教育改革との関係分析については、その分析枠組みの再構成も視野に入れながら、やや前倒しで行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、予定していた米国出張をキャンセルしたため、航空券と現地滞在費に未使用金が生じた。次年度において研究調査のための出張行程を再調整して執行する予定である。
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Research Products
(6 results)