• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

History of Phrenology in Modern Japanese Education

Research Project

Project/Area Number 19K14063
Research InstitutionHyogo University of Teacher Education

Principal Investigator

平野 亮  兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (40636429)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywords骨相学の担い手 / 旧士族 / 長岡 / 工学/商業人材 / 明治時代
Outline of Annual Research Achievements

一年目に,骨相学が近代日本文化のいかなる領域に入り込んでいたのかについて,その広がりの状況(分布,カルトグラフィー)を調査・整理したのに対し,今年度は,より具体的な素材に焦点を当てて骨相学の受容と影響を検討するべく,主として明治期の日本人フレノロジスト・高橋邦三(1861-1913)に関する研究に取り組んだ。
それまでの調査から,高橋が大倉組商会のロンドン支店赴任の際に骨相学と出会い,帰国後は京都商業学校長を務める傍ら骨相学の普及に努め,やがて「東京心性学館」を立ち上げた人物であることは分かっていたが,研究を進めるにつれて彼の有する特筆すべき歴史的条件が明らかとなった――即ち“長岡藩出身(反官軍)”“士族”“工学人材”“商業人材”“英語人材”“教育者”等である。これらの属性は旧時代と新時代の緊張を孕む関係を蔵しており,彼という人物は近代日本における象徴的な一ケースたると言える。そのような人間が骨相学に魅入られていた。
高橋自身は後代に顕彰されてこなかったが,当時は所謂エリートコースを歩んでおり,大倉喜八郎,尾崎行雄,南方熊楠ら同時代に活躍した者たちに関わる記録にその形影を捉えることができた。渡英の際の乗船名簿からは,新婚旅行で日本を訪れていたR・キプリングと同船であったことも判った。同郷の井上円了,小西信八,市島謙吉,石黒忠悳らとの交流に関わる記録には,「骨相学」がしばしば登場した。
コロナ禍により現地調査は殆どできなかったが,各種機関には電子メールや電話での問い合わせに快く応じて頂き,多大な研究協力を給わった――各大学附属図書館,各公立図書館,東京経済大学,大成建設,兵庫県庁,京都学歴彩館,英国のJapan SocietyやNippon Club等。そのため,現代(休館やロックダウン)・過去(戦災や震災)双方に帰因する限界はあったが,貴重な史料も入手することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

進捗がやや遅れた最大の要因は,新型コロナウイルスの蔓延にともなう「不自由」に由来した。
前述の通り,電子メールでの調査依頼,文献調査・入手,オンライン公開の電子資料の活用などにより,予想以上に研究は進展したのだが,英国はロックダウン期間が長く現地のスタッフも史料にアクセスできない状況が続き,また国内においても,おそらく新潟県の図書館にのみ保管されている史資料の閲覧や,東京大学総合図書館に寄贈されたという高橋邦三の旧骨相学蔵書群の調査などは叶わなかった。
移動をともなわないかたちの調査としては順調に進んだと感じるが,興味深い史料の調査・検討については残し,学会発表および論文投稿には至らなかったため「やや遅れている」とする。

Strategy for Future Research Activity

大きくは2つの研究を併行する。
一つは,2年目の調査・検討の継続であり,いま一つは,当初の計画通り,明治初期翻訳教育学テキスト『教導説』と,表面化しない骨相学の影響についての研究である。
今年度に望みをかけて持ち越した出張調査については,新型コロナウイルス感染現況から判断する限り実施は難しいかも知れず,殊に海外出張は不可能だろう。国内出張が可能な無理のないタイミングが訪れれば,実施し,史料調査・閲覧を行う。
基本的には入手済み史料の読解や翻訳を進めていく。意味・意義あるものに整理することができれば,何らかの形で発表する。

Causes of Carryover

今年度に計画していた海外出張および国内出張が実施できなかったため,「次年度使用額」が生じた。
叶うなら当初の計画通り史料調査のための出張費に充てたいと考え,予算を繰り越した。しかし,新年度5月現在の状況を勘案するなら,それは難しいかも知れない。
現地調査ができなかった場合,その使途の可能性として史料や物品の購入が考えられる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] フレノロジー・レセプション(明治大正篇)―近代日本における骨相学のカルトグラフィー(2)2020

    • Author(s)
      平野亮
    • Journal Title

      兵庫教育大学研究紀要

      Volume: 57 Pages: 15-26

    • Open Access

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi