2020 Fiscal Year Research-status Report
カリキュラムの創発現象の解明―子どもの観察と記録による教師の省察に焦点あてて―
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19K14066
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大島 崇 大分大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (70715276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カリキュラム / 創発 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、戦後初期の教育実践に関する先行研究と,奈良師範学校女子部附属小学校における実践を,カリキュラムの創発現象という観点から再検討を行った。 戦後初期の教育実践に関する先行研究の中でカリキュラムの創発現象に迫った研究としては,金馬(2006)を挙げることができた。金馬(2006)は、「明石プラン」の実践者たちが「教師と子供と環境とのインターラクションの場において力動的に学習が展開される」,「個々の子供の欲求と能力に応じてエマージングに具体的なカリキュラムを構成して行く」という発想をもっていたことを示した。しかし,金馬(2006)においては,子どもと教師の相互作用によるカリキュラムの創発についての言及はなされているものの,具体的な実践については示されていなかった。 先行研究の到達点と課題を踏まえた上で,奈良師範学校女子部附属小学校における「プラン会議」と「研究授業」は,子どもと教師の相互作用によるカリキュラムの創発という観点から再評価できる営みであること明らかにし,戦後初期におけるカリキュラムの創発の実践事例を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究において明らかとなっていなかった子どもと教師の相互作用によるカリキュラムの創発の具体的な実態を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもと教師の相互作用によるカリキュラムの創発のメカニズムを明らかにするとともに,こうした教育実践の成立要件として考えられる教師教育論や教育評価論についても今後探究する必要がある。 また,これまでの研究成果について論文または書籍等としてまとめ,公刊していくことも今後の課題である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(covid-19)の影響で,調査や学会参加に係る旅費が予定よりも減額した。今年度も調査や学会参加に係る出張が難しい場合は,研究にひつような機器や関連文献などの物品費を増額する予定である。
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