2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of lifelong learning institutions in Finland
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19K14070
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
大谷 杏 福知山公立大学, 地域経営学部, 准教授 (50760576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 市民カレッジ / 講座分析 / 新型コロナウイルス / オンライン / フィンランド |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に開始した本研究課題は新型コロナウイルスの影響により、2年分の渡航が叶わなかったため、2年延長し、2023年度が最終年となった。 2022年度も2021年からの状況に大きな変化が生まれなかったため、渡航を断念した。現地調査に代わって、国内でできる作業として各カレッジの学習ガイドをインターネット上から入手し、1カレッジ多い所では1000近くに及ぶ講座の属性に沿ったExcelデータを作成、ピボットテーブルによる分析をとおして傾向を掴むことに専念した。「フィンランドの生涯学習講座への参加率の高さの要因」を市民カレッジ開設講座の傾向(時間、場所、期間、料金、内容)から明らかにしていく作業である。また、これらの講座分析は、フィンランド国内の市民カレッジにおける新型コロナウイルスの影響を知る手掛かりにもなることから、コロナ以前(2019年度)、コロナ禍(2020-2022年度)、コロナによる制限が解除されて以降(2023年度以降)の学習ガイドの講座分析の比較を行っていく作業も同時に進めている。 これら2022年度の1年間で行った作業の成果を、現時点では2023年度に開催される日本比較教育学会大会と日本教育学会において報告を予定している。また今年度は、過去に実行できなかった2年分の現地調査をフィンランドで行う予定である。訪問先はヨエンスー地域市民カレッジ、ユバスキュラ市民カレッジ、ウェルアーモ・オピスト、タンペレ地域市民カレッジ、トゥルク・フィンランド語による労働者カレッジ、ヘルシンキ労働者カレッジである。これら現地調査から得た情報に基づいた成果報告については、秋以降の学会、若しくは投稿論文、最終報告書で示していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度から2022年度の間は新型コロナウイルスの蔓延により、入国・出国制限等もあり、フィンランドへの渡航を控えていた。その間、国内でできる作業として、毎年各市民カレッジのホームページ上で公開、更新される学習ガイド(opint-opas)を収集し、そこに記載のある講座の分析を行った。対象とした施設は、2019年に訪問したオウル市のオウル・オピストやロヴァニエミ市のロヴァニエミ市民カレッジ、2023年度に訪問予定のヨエンスー市のヨエンスー地域市民カレッジ、ラハティ市のウェルアーモ・オピスト、ヘルシンキ市のヘルシンキ労働者カレッジである。その他、周辺自治体で学習ガイドを公開している施設分についても資料の収集を行った。インターネット上に掲載された各施設の学習ガイドは、年度が変わると前年度分が消滅してしまうため、定期的なチェックが必要である。 講座を分析する際には、大谷杏「地方都市在住者の生涯学習に関する参加要因の検討 ―フィンランド・ロヴァニエミ市での事例調査から―」(『福知山公立大学研究紀要』5, pp.1-14、2021年)で用いた開催場所、開催回数、受講料、開催時間帯、講座の種類を主な指標とした。それぞれの市民カレッジによる特徴と共に、本研究の課題である「フィンランドでは生涯学習への参加率はなぜ高いのか」という要因を探るべく、フィンランド国内の市民カレッジに共通して見られる傾向についても検討できるようにした。また、当初予定していなかった新型コロナウイルスの影響による経年変化も同時に確認するために、2019年から2023年現在までの学習ガイドを収集し、Excelにデータを入力、オンライン対応の有無、設置講座の変化、開催場所の変化についても新たに分析対象とすることにした。2022年度に行ったデータ入力、分析の成果は2023年度内に公表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、昨年度より取り組んできた学習ガイドの分析を更に進めていくと同時に、新型コロナウイルスの影響で2020年度以降滞っていたフィンランドでの調査を再開させる予定である。また、今年度が最終年度となるため、学会発表や論文執筆としてこれまでの成果を積極的に公表していく。当面の予定としては、2019年に現地で入手したオウル・オピストの学習ガイドとインターネット上から入手したその2022-2023年版との比較検討を行い、6月に行われる日本比較教育学会第59回大会にて「市民カレッジの講座に見られる新型コロナウイルスの影響-オウル・オピスト2019-2023年度設置講座の分析から-」と題して発表する。また、8月開催予定の日本教育学会第82回大会では「設置講座の分析による生涯学習講座への参加促進要因の検討」とのタイトルで報告する予定である。 9月には、フィンランド国内のヨエンスー市(ヨエンスー地域市民カレッジ)、ユバスキュラ市(ユバスキュラ市民カレッジ)、ラハティ市(ウェルアーモ・オピスト)、タンペレ市(タンペレ地域市民カレッジ)、トゥルク市(トゥルク・フィンランド語による労働者カレッジ)、ヘルシンキ市(ヘルシンキ労働者カレッジ)の各公立の市民カレッジを訪問し、可能であれば実際に講座が行われている様子を見学、関係者への聞き取り調査、市民カレッジの市内での広報活動等について現地調査を進める。但し、9月の調査では日程が限られているため、追加調査が必要となる場合はその後1度フィンランドに渡航し、更なる情報収集に努めることも検討している。これらの調査から得た結果についても、秋以降の学会大会や投稿論文において随時発表し、最終的に当初3年間を予定していた5年に及ぶ本研究課題の結論を報告書の形でまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウイルスの影響により、フィンランドへの渡航が叶わなかった。そのため、2021年度分と共に2023年度に繰り越し、2023年度に1~2回の渡航を予定している。
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