2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14091
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
八田 幸恵 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (60513299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カリキュラム開発 / 羅生門的接近 / カリキュラム評価 / 学校を基礎にしたカリキュラム開発 / パフォーマンス評価 / ポートフォリオ評価 / ステイクホルダー / 参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は次の二つである。 第一に、日本における諸外国のカリキュラム評価研究を批判し、再創造するということである。とりわけ、様々なカリキュラム評価論を整理するための座標軸を創造するという点である。これに関しては、世界的なカリキュラム評価論の基礎とされる「工学的接近と羅生門的接近」という対立軸が、日本の授業研究に関わってきた日本人研究者の多大な貢献によって成立した日本独自の対立軸であり、諸外国にはそのような対立軸は存在しないということを明らかにした。また、「工学的接近と羅生門的接近」という対立軸が成立する過程では当然諸外国のカリキュラム評価論に学んでいるのであるが、成立する過程でそれらが受容されることなく忘れられていったことを明らかにした。では、諸外国では様々なカリキュラム評価論を整理するためのいかなる座標軸があり得るのかという点については、OECD-CERIにおいて「学校に基礎を置くカリキュラム開発」論が成立する過程を精査することを通して、仮設的なものを提案した。 本研究の目的の第二は、学校や学年やコースといった中間レベルにおけるカリキュラム評価に資する、具体的な方法の開発である。とりわけ、校内のカリキュラム評価に多様なステイクホルダーが参加し、目標と評価基準に言及する言語が生成し定着する過程の解明である。これに関しては、福井県立若狭高校のSSH運営指導委員として同校SSH自己評価票の作成を指導する過程で、カリキュラムの革新のためには、カリキュラム実施段階でワークシートの統一などを極力避けて多様なアイデアを認めることや、校内での会議をワールドカフェのように創発的な雰囲気にすることが、校内のより多様な教師がカリキュラム開発に参加することを促し、目標と評価基準に関する新しい言語を生成する可能性があること指摘した。その中身がどれほどの質であるのかについては、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は二つあり、一つ目は文献研究という方法で進め、二つ目は主にフィールドワークで進めている。新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、カリキュラム評価を行う年度末の時期にフィールドに行くという行為を自粛しなければならなかったこと、そもそもフィールド自体が休校になったことによって、二つ目の研究については予定通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献研究という方法で進めることができる一つ目の研究を優先的に行う。資料は十分に手元にあるため分析を進めていく。今後は、カリキュラム開発の理想的なビジョンである「学校に基礎を置くカリキュラム開発」においてカリキュラム評価論が十分に確立していない理由として、「学校に基礎を置くカリキュラム開発」論成立の過程において、評価が目標づくりに吸収されていったという仮説を論証する。 二つ目のフィールドワークという方法で進める研究については、研究対象として学校現場に関わるより、協力者としてそのニーズに応えることを優先させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、フィールドワークに行くことができなかった。翌年度に感染拡大を見ながらフィールドワークを再開する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 授業研究2019
Author(s)
木村 優、岸野 麻衣
Total Pages
296
Publisher
新曜社
ISBN
4788516314
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