2019 Fiscal Year Research-status Report
校内授業研究会の事例をジョイント・アテンションに着目して分析するための基礎的研究
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19K14094
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
古市 直樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (00823882)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 授業研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
校内授業研究会の事例をジョイント・アテンションに着目して検討するための基礎として、校内授業研究会に関する理論的検討を行った。まず、「授業研究」や「教材研究」をはじめとした教師教育に関わる諸概念を整理した。また、教師の学びや育ちの質を評価するための根本的な観点を、臨床教育学的知見やコーチング概念等にも着目して考察し明確にした。そしてそれらに基づいて、教員研修の実践例や先行研究、特に教師たちの校内授業研究会をはじめとする校内研修の実践例や先行研究を類型化し検討した。 調査対象校では、当該校の状況について聴き取りを行い、校内授業研究会の場面およびそこで扱われる授業場面を観察し記録した。例えば、活動的な授業場面の映像を共同注視している教師たちが熟議を行う場面や、小グループで教師たちが机の上の資料を共同注視しながら協同的な省察を行う場面を観察した。 そのほか、教師たちの協同的な教育実践におけるジョイント・アテンションによる空間認識について考察する上で有益なデータを収集することもできた。子どもたちと教師たちがどのように学校空間全体を活動的でダイナミックな学びの空間として協同的にデザインするかを観察と記録に基づき検討することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査も実地調査も概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
実地調査を継続しつつ、事例検討と理論的省察を行う。授業研究会の事例をジョイント・アテンションに着目して分析する上で、ジョイント・アテンションを認識するための理論的な枠組みの作業仮説(叩き台)となるものは、授業や小集団学習の事例をジョイント・アテンションに着目して分析した際に構築した枠組みである。 まず、授業研究会の事例研究におけるジョイント・アテンションという概念装置の特徴や特長が表れやすそうな事例を1つか2つ選んで分析する。そして、その結果について考察を行い、当該事例においてジョイント・アテンションがどのような仕組みでどのように機能しているかという構造を解明する。 また、全ての事例を分析して、事例の類型化に基づき授業研究会中のジョイント・アテンションの一般的機能を解明する。そして、そのような一般的機能を有するジョイント・アテンションが授業研究会の事例研究の概念装置としてどのような限界を有していてどのように改められるべきかを、1年目の理論的検討の成果に照らして考察する。それに基づき、今回の作業仮説を、即ちジョイント・アテンションを認識するための既有の理論的な枠組みを、校内授業研究会の事例研究に適したものとして再構築する。つまり、校内授業研究会の事例をジョイント・アテンションに着目して検討するための理論的な枠組みが明らかになる。
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Causes of Carryover |
理論的検討のために必要となる文献には、電子化されWebで公開されているものも多かったため、文献の購入費が当初の予定額には達しなかった。その分を、性能の低下した機器の買い替えに使うことにした。
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