2019 Fiscal Year Research-status Report
The research on charter systems in Georgia, U.S.A.
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19K14098
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住岡 敏弘 大分大学, 教育学部, 教授 (70304376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アメリカ教育 / アメリカ教育行政 / アメリカ教育制度 / チャータースクール / チャーターシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国ジョージア州のチャーターシステムを『黒人の側から』分析し、その特質と課題を探ることである。 ジョージア州では、2007年にチャータースクール法が改正され、公立学校に加えて地方学区も「チャーターシステム学区」として、チャーターにもとづく運営が認められるようになっており、地方学区が「チャーター」にもとづく独自の運営が認められるようになっている。学区単位の「チャーター化」は他州でも例がなく、管見する限り、先行研究も国内外をあわせてほとんどない。 そこで本年度は、ジョージア州におけるチャーターシステムに関する公的資料の整理・分析を行い、チャーターシステムの法的・制度的枠組みの整理と学区による運用実態の調査を行った。具体的には、①ジョージア州教育庁のチャーターシステム担当者へのメールインタビュー内容や州議会資料や法令集を収集・分析し、チャーターシステム導入の社会背景、目的、法規定の詳細について分析し、チャーターシステムの法的・制度的枠組みを整理し、②チャーターシステムの適用を受けている学区について、州との契約内容とその特質について分析した。 以上の研究成果は、西日本教育行政学会編集の『教育行政学研究』第41号(査読有)等に掲載予定である。結論は以下の通りである。公教育のチャーター化は、州政府が、チャーターシステム学区に「法的適用免除」を認め、学区自身の創意工夫のもとで目標を目指させており、そこには、学区に自己決定をさせ、最終的に自己責任をとらせるという論理が貫かれているといえる。元来、児童生徒の学力向上は、州政府が責任をもつべきであるが、ジョージア州では、チャーターシステム学区にその責任を転嫁し、州はそれを監視し、指導援助するという形で、州政府が改革の主体から支援や評価の主体へと役割自身を変容させているとみることもできる可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの世界的な蔓延により、当初予定していた、州教育庁、アトランタ市教育委員会のチャーターシステム担当者にインタビューや学校視察等が中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの蔓延により、当面、ジョージア州での現地調査は難しいと思われる。 そこで、チャーターシステム学区にメール調査を中心に行う。具体的には、<1>チャーターシステム導入後の学区教育委員会の組織編制、政策決定過程の権限等の変更の有無 <2>チャーターシステム導入後の学区教育委員会と管轄する学校との権限関係の変化の有無について明らかにする。 また、「黒人の視点」からの分析として、黒人教育行政官や黒人人権団体へのメール調査を実施し、チャーターシステムの導入をどのように評価しているか、調査する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大のため、3月に予定していたジョージア州教育庁、アトランタ市教育委員会等に対する現地調査が延期になり、アメリカ出張を中止した。そのため、旅費ならびに、出張に係る物品等を使用することができなかった。
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Research Products
(2 results)