2021 Fiscal Year Research-status Report
The research on charter systems in Georgia, U.S.A.
Project/Area Number |
19K14098
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住岡 敏弘 大分大学, 教育学部, 教授 (70304376)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | アメリカ教育 / アメリカ教育行政 / アメリカ教育制度 / チャータースクール / チャーターシステム / ジョージア州 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、歴史的な観点から、「教育の機会均等」理念実現における、ジョージア州チャーターシステムの意義と課題について分析を行った。1954年の連邦最高裁のブラウン判決を契機に、ジョージア州でも分離教育撤廃(desegregation)が進められてきた。たとえばアトランタ市では、分離教育撤廃の地裁の裁判所命令が出されたが、人種分離撤廃は一向に進まず、その一方で1960年代には都市部の白人が郊外に流出し、1970年には黒人が市の総人口の51.3%を占めるに至った。このように分離教育撤廃が実施されているにもかかわらず公立学校は「事実上の分離教育」状態であった。人種間の教育の平等が進まないなかで、1973年には、黒人コミュニティと教育委員会の間で「アトランタの妥協(Atlanta Compromise)」が成立した。この合意のもとで、分離教育撤廃に代えて、教育長をはじめ教育行政の幹部や教師の半数以上を黒人が占めることになった。これを機に、学区内の人種やエスニシティ構成を反映した教育上のリーダーシップや学校に対するガバナンスが求められるようになったのである。州教育法や規則、ガイドラインの適用免除を通じた学区の柔軟な運営を認める同州のチャーターシステムにおいては、学区の教育長のリーダーシップを通じて、学区をとりまく社会文化的、教育上の実態や課題を踏まえたより大胆な教育政策の実施が可能となる。そこで、アトランタ市のように、マイノリティ児童生徒が多数を占める学区において、マイノリティ教育長が人種間の教育の平等や教育の機会均等を目指していく上で、チャーターシステムが内包している可能性や課題を指摘した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で、海外渡航が制限されており、現地調査が実施できない状況が続いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
チャーターシステムについて、現地調査を進め、実態を明らかにし、同制度のアメリカ教育行政制度上の意義を究明していく。
|
Causes of Carryover |
本プロジェクトの主要な柱である、ジョージア州におけるチャーターシステムの現地調査がコロナ禍による海外渡航制限により実施できない状況が続いている。今後、海外渡航の制限が緩和されることも予想されるため、現地調査の実施に向けて研究計画の策定や調査対象との調整を行い、実施していく予定である。
|
Research Products
(3 results)