2023 Fiscal Year Research-status Report
The research on charter systems in Georgia, U.S.A.
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19K14098
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
住岡 敏弘 大分大学, 教育学部, 教授 (70304376)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新自由主義 / 学校選択 / チャータースクール / チャーターシステム / 公民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、黒人の視点からみたチャーターシステムの問題点を探るために、公民権保障の観点から教育の私事化の動向に警鐘を鳴らしている、オーフィールド・ゲイリー氏(Gary Orfield)の著作を収集・分析し、チャーターシステムの問題点を明らかにした。 ゲーリー氏は、UCLAのCivil Right Projectの共同ディレクターのひとりとして、バウチャー制、チャータースクールなどの学校選択の拡大とアメリカ公教育における人種分離の拡大との関係に焦点を当てている。 彼は、新自由主義的な思想の下での学校選択制度の拡大を激しく批判している。新自由主義的思想は、学校を企業のように運営することで改善が促されるとの枠組みで、市民を消費者のように扱い、バウチャー、チャータースクール、マグネットスクール、自主的な転校プログラムの形で選択肢を与えてきた。しかし、彼によると、選択政策は実際には貧しい子どもたちや黒人やヒスパニックなどのマイノリティの子どもたちに利益をもたらすことができるとしつつも、それは政策決定者が「公民権問題」と呼ぶものについてある程度の配慮する意図がある場合に限られると主張している。 こうした視点を踏まえて、ジョージア州のチャータースクール法の改正過程について、ジョージア州の公文書館に赴き、チャーターシステムの法制化に関わる資料ならびにそれに関わる新聞記事を収集し、分析を行った。チャーターシステムは、各児童生徒の個々のニーズを最もよく満たすために学校単位で決定を下す権限と柔軟性を与えられるように制度化されていることが明らかになった。ただ、実際に、公民権への配慮がどのように運用されているかについては、今後、運用実態を子細に調べていくことが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の結果、現地調査が十分にできず、研究データを収集することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、チャーターシステムの制定意図である「各児童生徒の個々のニーズを最もよく満たすために学校単位で決定を下す権限と柔軟性を与えられる」という政策の制定意図を踏まえて、公民権への配慮がどのように行われているのか(それとも配慮がなされていないのか)について、チャーターシステムの運用実態について明らかにするために、学区教育委員会の政策担当者にアンケートとインタビューを実施していく。
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Causes of Carryover |
①次年度使用が生じた理由 コロナ禍のため、アメリカ合衆国での現地調査が十分できず、旅費を計画通り使用することができなかった。 ②次年度しようとなった研究費の使用計画 ジョージア州の現地に訪問し、州教育委員会や学区教育委員会の担当者に依頼して、インタビューや視察を行う。また得られた研究成果を学会等で発表する予定である。
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