2020 Fiscal Year Research-status Report
民族的マイノリティに対する教育保障と多文化共生教育に関する実証的研究:タイの事例
Project/Area Number |
19K14115
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
植田 啓嗣 西九州大学, 健康福祉学部, 講師 (60757326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タイの教育 / 少数民族の教育保障 / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイの民族的マイノリティである山地民の教育保障と多文化共生教育の課題に関する研究である。本研究では、次の2つの研究課題に取り組む。①山地民への教育保障が進む中で、山地民の子どもたちがいかなる民族文化・アイデンティティを保持しているのか、またその要因について複数の事例の比較を通して明らかにすること。②山地民の子どもたちとタイ族の子どもたちが、お互いの存在(人権意識)や文化をいかに承認・理解しているのかについて明らかにすることである。 以上の研究は、現地でインタビュー調査やアンケート調査を実施するものである。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で海外渡航が実質不可能となり、現地での調査研究ができず、本課題の研究遂行が滞っている。 そこで2020年度は、上記2つの研究課題に関する文献研究を実施した。マイノリティに関する研究、多文化共生教育に関する研究、外国の教育に関する研究を中心に日本語、英語、タイ語の文献・資料を集めて、先行研究の検討や概念整理を行った。 先行研究の検討や概念整理に関して活字業績としては出せていないものの、本課題の問題意識を深めたり分析枠組みを強化することにつながった。 また、「①山地民への教育保障が進む中で、山地民の子どもたちがいかなる民族文化・アイデンティティを保持しているのか」に関して、2019年度に実施した山地民の子どもたちが多く通う中等教育機関である仏教学校4校での調査結果をまとめて、論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2年目である令和2年度は、フィールドワークによる研究を計画していたが、海外渡航の制限により実施できなかった。また、現地の学校も新型コロナウイルスの影響による学校閉鎖・休講を余儀なくされた時期もあり、オンラインを介した研究も叶わなかった。令和2年度は先行研究の検討、概念整理、令和元年度の研究結果の公表に力を入れた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目である令和3年度も新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、現地調査が実施できる見込みはない。令和4年度以降への研究計画の延長も視野に研究計画を練り直す必要がある。当面は文献調査やインターネットを活用した調査を中心に行い、情勢を見ながらフィールドワークの可能性について検討していきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により予定していた海外現地調査ができず、その分大幅に予算を繰り越すことになった。次年度(令和3年度)に繰り越した金額75万円のうち、40万円を海外現地の費用として計画する。令和3年度に現地調査の実施がかなわない可能性も高く、その場合、研究期間を1年間延長することも検討している。 また、現地調査に制約が出ていることから、現地調査(実践研究)から文献調査あるいはオンライン調査(理論研究)に比重をシフトしている。それゆえ、残りの35万円を図書、論文等の資料やPC環境整備の費用に充て、理論研究を強化する。
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