2022 Fiscal Year Research-status Report
the Situation and Issues of Cooperation between Schools' Policy to Solve Educational Inequality in China's metropolitan areas
Project/Area Number |
19K14117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
張 揚 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (60767193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政策内容の質的分析 / 教育行政の非権力的行政作用 / 教育集団における教員研修 / 弱い学校における変革 / 協働的なカリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では引き続き中国の各省における「教育集団化」政策文書を収集し、政策内容を中心に、「教育集団化」に関してはいかなる政策が主に実施されているかを明らかにし、それは学校にどのような変化を生じさせるだろうかを推論した。 まず、「教育集団化」政策ではより教育行政の非権力的行政作用が強調され、多様な行政手法によって教育集団が作られるようになっている。例えば、教育行政は「教育集団化」プロジェクトの特別経費を設け、教育集団に属していない学校を募集する。個人に対してはパフォーマンス評価給与をはじめとする奨励金政策や特別昇進政策を実施し、より多くの教員を教育集団化政策に協力してもらう。 次に、「教育集団化」政策においては、教員の質的向上を促す政策が実施されている。都市部における「教育集団化」政策の実施に伴い、学校間の設備が統一化されるようになり、校舎や学校設備に関する格差が徐々に縮小した。「強い学校」と「弱い学校」においては、一番大きな違いは教員である。そもそも「教育集団化」政策は「弱い学校」の教員の質を保つために、「強い学校」の優秀教員が強制的に「弱い学校」に派遣された。だが、最近の「教育集団化」政策を分析すると、優秀教員派遣より、資質の弱い教員に対する研修が重要視され、特に、教育集団における授業研究や教員研修の実施が推奨されている。教育集団は各学校における校内研究と集団全体の教員研修を一体化して、すべての教員を巻き込み、弱い学校における変革を学校の内部から引き起こす。 最後に、「教育集団化」政策では、カリキュラム開発を促す政策が実施されている。教育課程の制定に関しては各都市の政策が高い類似性を有し、「強い学校」のカリキュラム開発の責任が強調されている。「教育集団」のリーダー校はメンバー校のカリキュラムを企画・開発し、カリキュラムを推進する際の指導も行わなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度では中国への渡航制限の関係で、現地調査を中止し、政策のコンテンツの分析をメインに行い、政策内容に対する質的分析を通して、政策上の重点を明らかにし、それが学校へ及ぼす影響を推測した。 但し、既述のような政策のもとでの学校変化を確かめるために、教育集団の関係者に対するインタビュー調査によって理論分析の妥当性を明らかにする必要がある。だが、現地で会ったこともない学校関係者に連絡しても、信頼関係が築かれていない状況のもとで、オンラインでのインタビュー調査がなかなか順調に調整できなかった。結局、いくつの都市の関係者に打診しても、実現できなかったために、研究課題の解明が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を一年間延長して、教育集団の関係者に対するインタビュー調査によって理論分析の妥当性を解明する。 現状を踏まえて中国への渡航規制は緩和され、現地での隔離などの措置もなくなるために、比較的に中国への現地調査は実現可能になっている。この状況を踏まえて、これまで実現できなった現地調査を是非やっていきたい。北京、上海、広州へ現地調査を行い、とりわけ、「集団内部における教員研修を一体化して、すべての教員を巻き込み、弱い学校における変革を学校の内部から引き起こす」ことに焦点を当て、教育集団においては如何に一体化した教員研修が行われ、そのような政策のもとで教員たちにもたらす変化について関係者にインタビューし、これまで行った政策分析の妥当性を立証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:R4年度新型コロナのまん延によって、当初予定した海外調査が実施できなく、当該経費を翌年分として利用する。 使用計画:中国への渡航可能状況を踏まえ、2023年度の9~10月に北京市、上海市、広州市への現地調査を行い、残された予算を使う。
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