2023 Fiscal Year Research-status Report
the Situation and Issues of Cooperation between Schools' Policy to Solve Educational Inequality in China's metropolitan areas
Project/Area Number |
19K14117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
張 揚 北海道大学, 教育学研究院, 講師 (60767193)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教育集団化政策の二分化 / 統合的組織関係を維持する教育集団政策 / ルースカプリング組織関係を維持する教育集団政策 / 校長のリーダシップ / 学校組織の再構築 / 学校文化の輸出 / 教員連携 / 協働で授業研究を実施すること |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度では同年度当初で計画した2023年度に北京市、上海市への現地調査を予定通りに実施できた。本研究がはじまった当初から4年間が経ってようやく実現できた現地調査である。なお、調査地域は北京市、上海市と浙江省金華市。詳細については以下の通りである。 2023年9月に上海市楊浦区上海理工大学附属小学校教育集団を訪問調査し、センター校(強い学校)といわれる上海理工大学附属小学校の校長兼同教育集団理事長1名と副校長1名、中間管理職である教務主任1名についてインタビュー調査を実施し、また、教育集団の分校である内江路第二小学校(弱い学校)の校長1名、中間管理職3名をインタビューした。 同時期、中国のもっとも経済発達地域である東部沿海省、また、中国においてはじめて教育集団化政策を実行した地域である浙江省をフィールドワークした。主に4つの教育集団を調査し、うち、都市部の教育集団が2つ、地方の教育集団が2つである。都市部の教育集団の一つめは、金華市金東区実験小学校教育集団である。当教育集団の総校長1名、副校長3名と当教育集団の分校であるTANG YA中心学校の校長1名、中間管理職4名、当教育集団の分校である小規模学校HU ZAI小学校の校長1名、中間管理職1名についてインタビューした。二つめは、浦江実験中学校教育集団である。当教育集団の総校長1名、副校長と中間管理職を含めて5名について集団インタビューを実施し、さらに、当教育集団の分校である浦江第5中学校を訪問調査して同校の校長1名、中間管理職4名をインタビューした。 2023年10月に北京市海淀区紅英小学校教育集団と北京市海淀区海淀実験学校教育集団を訪問調査した。紅英小学校教育集団を調査した際に、総校長1名と分校校長3名、保護者会会長1名をそれぞれインタビューした。海淀実験学校教育集団に関しては総校長1名をインタビューした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査が実現できて、そしてインタビュー調査の内容を整理したうえで、現段階に明らかにしたのは5点である。第1に、現在都市部における地方公立学校での教育集団政策の実施率がかなり高く、調査対象地域での7割以上の小・中学校は教育集団に属している。第2に、地域によって実施されている教育集団政策が異なり、教育集団における学校間の関係から分類すると、統合的組織関係を維持する政策とルースカプリング組織関係を維持する政策がある。第3に、統合的組織関係を維持する政策は総校長の強力なリーダーシップに依存して、総校長が強い学校において資質能力の高い教員や優れる中間管理職を育成して分校に派遣して、分校で新たな学校変革をもたらし、学校組織から学校文化までに改革してもらう。調査対象教育集団のうち、3つの集団はこのような特性が強く見える。第4に、統合的組織関係を維持する政策は中国の現行教員配置制度、つまり、学校教員が採用される学校に属して原則に本人希望以外の人事異動がない現状を変え、地方エリアにおける教員人事異動の実施可能性を示唆してくれている。第5に、ルースカプリング組織関係を維持する政策は主に強い学校から弱い学校への学校文化の輸出によって弱い学校での変革をもたらし、また、学校文化を輸出するために、強い学校と弱い学校間での教員連携と協働で授業研究の実施が主な手段となり、強い学校と弱い学校での教員負担がともに大きいである。また、弱い学校が変革ができるか否かは両学校の教員間の信頼関係の構築状況次第である。 本結論はインタビュー調査の全体整理に基づいた結果である。しかし、これは2023年度までに行った各地域における教育集団化政策に関する政策文書の分析結果と齟齬がある。
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Strategy for Future Research Activity |
既述のようになぜ齟齬が生じるかを明らかにするために、インタビューデータについての更なる分析、またはインタビュー対象者についての追加調査を経て修正・補足する必要性ある。ですから、本研究をさらに1年間を延長して、インタビューデータについての更なる分析を行い、すでにインタビューした対象者たちに追加調査して、既述のような政策文書分析と現地インタビュー調査分析のあいだに生じた齟齬の存在理由を明らかにし、結論を修正・補足する。 また、2023年度実施した調査内容をまとめて学会での発表や論文の作成に間に合わなかったために、次年度ではすでに実施した現地調査の調査内容をより詳しく分析し、学会発表したうえで学術論文と本研究の研究成果報告書の執筆に専念する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:①当初、2023年度の早い時期現地調査を実施し、2023年度の後半調査内容をまとめて国内や国際の学会で発表する予定であったが、現地学校との日程調整の結果、現地調査の実施が遅れまして、調査内容をまとめて学会で発表することが間に合いませんでした。そのために、学会発表のために使用する予定である予算が使えなくて、次年度に日程を改めて実施することとなったため次年度使用が発生した。②政策研究と現地調査の結果では齟齬が生じているために、すでにインタビューした対象者たちに追加調査して、既述のような政策文書分析と現地インタビュー調査分析のあいだに生じた齟齬の存在理由を明らかにし、結論を修正・補足する必要があるために、次年度使用が発生する。 使用計画:次年度使用額を主に次の2つで計画した。1つめ、2023年度実施した調査内容をまとめて、国内外の学会で発表し、また本研究の研究成果報告書を制作する予定であるために、国内外学会発表の旅費と研究成果報告書の制作費用として利用する予定である。2つめ、追加インタビューの通信費である。
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