2019 Fiscal Year Research-status Report
初等・中等教育修了に向けた修学実態の変容の解明―修学パターンの国内間及び年代比較
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19K14119
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
芦田 明美 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 講師(任期付) (30749164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際教育開発 / 修学実態 / 地域間比較 / 縦断的データ / 年代比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、教育のアクセスから質、公正性、学びへと優先事項が移り、初等および中等教育の修了が目標として掲げられるSDG4.1の下、初等・中等教育課程の子どもたちの個々の修学実態がいかなる状態にあるのか、明らかにすることを目的とする。特に、地域間の格差の発生状況に着目し、教育の質および公正性の観点から、その改善状況や方策を検討する。そして、地域特性の異なる3地域を考慮した検討から得られる知見を用いて、ホンジュラス国全土への提言に止まらず、同国に続く後発開発途上国への提言を引き出すことを試みる。 研究初年度となる本年度は、対象国における現地調査の実施は見合わせたものの、現地の研究協力者の協力を得て、修学状況に関するデータベースの収録年代の更新作業を行なった。また、本研究課題の分析にかかわる社会背景および歴史的な出来事に関する資料の収集、修学実態の分析、学会等での研究成果発表を実施した。これまでの分析により明らかになった結果の一例を以下に記す。 地域特性の異なる首都と地方都市を対象に、初等および中等教育課程における修学実態の地域間比較および年代間比較について検討したところ、1990年以降の世界における基礎教育重視の潮流に沿う形で、両地域において就学状況が改善され、初等教育課程の卒業者および前期中等教育への進学者が増加していることが確認できた。しかしながら、地域間の修学実態の差については就学年代が新しくなるにつれて顕著になり、特に地方都市においては留年がいまだ課題として残る様子が見られる。また、対象校を退学後、別の地域へと移動し前期中等教育へ進学したケースも確認されたことから、年代が新しくなるにつれて地方都市における人の移動が顕著になる傾向も見えてきた。現在、これらの分析結果をもとに論文の執筆を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査の実施は見合わせたものの、研究協力者の協力を得て更新データ等の収集を実施することができた。また、これまでに収集および構築済みのデータベースを用いて分析を実施した。分析の過程においては、研究協力者とスカイプやメール等を通じて定期的にコンタクトを取り意見交換を行う等して、分析結果の考察に生かしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の現地調査については、世界における新型コロナウイルス感染症の動向を注視し、また研究対象国における治安の問題を考慮しながら、研究代表者による渡航の可能性について検討する。研究代表者が渡航できない場合には、本年度同様、現地の研究協力者によるサポートを受けながら研究課題遂行の体制を取る。特に渡航せずとも可能な分析等の作業を中心として研究課題の遂行を行う。また、学会等における研究成果の発表を踏まえて、国内外の学術雑誌へ投稿することを試みる。
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Causes of Carryover |
今年度は現地における治安状況の改善が見られなかったことを鑑み、研究代表者による研究対象国への渡航を伴う現地調査の実施を取りやめ、国内で可能な作業に注力した。それにより、海外旅費として想定していた支出を行わなかったことから次年度使用額が生じた。今後の使用計画としては、現地調査や海外での国際学会への参加が可能な場合にはそれらに充て、難しい場合には現地における研究協力者への謝金、分析作業に必要な物品や研究備品の購入、国内旅費、英語論文の国際学術雑誌への論文投稿に伴う必要経費等に充てることを予定している。
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