2021 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical and Empirical Analysis on Impact of Armed Conflict on School Effectiveness Mechanism
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19K14122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内海 悠二 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (70824001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 紛争と教育 / 教育の効果分析 / アフガニスタン / 学校効果研究 / コミュニティ・レジリエンス / 空間分析 / 初等教育 / 識字教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は海外渡航ができなかったことから、既に取得したアフガニスタンのデータを使用して紛争が成人識字教育に与える影響の分析、および初等教育における紛争とコミュニティ・レジリエンスに関する分析を行った。また、本科研における研究と平行して新型コロナウイルス感染症に伴うオンライン教育へのシフトが学生の学習達成感に与える影響の分析を行った。本科研における本年度の具体的な研究内容は以下の通りである。 1.前年度からの継続として、アフガニスタンで2009年より実施されたUNESCO成人識字教育を事例として地域的な紛争の有無と規模が当該識字教育学生の学習効果に与える影響を分析し、海外学術雑誌投稿で得たコメントを基に、より精緻な固定効果モデルに分析方法を組み替えて分析している。修正論文を海外学術雑誌に投稿予定である。 2.アフガニスタンにおける紛争(2005-2007)が初等教育のアクセスに及ぼす影響の分析として、従来の行政区域を基軸とする紛争の有無から行政区域を超えた空間的な紛争の波及効果を計算し、当該波及効果が初等教育に与える負の影響の分析を行ったうえで、コミュニティ・レジリエンスとしてコミュニティの住人の主体的な教育への貢献意識が紛争の波及効果の負の影響を緩和することを確認し、当該分析結果を海外学術雑誌にて公表した。 3.アフガニスタンにおける紛争が空間的にどのような関係を有しているかを計算するために、紛争中に発生した各戦闘のGPS情報を使用して空間計量手法を用いてアフガニスタン全土における紛争の地理的な相関関係を分析した。当該相関結果を用いて更に紛争の重点発生地域と未発生地域における教育状況を量的に分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症による出入国制限によって2020年度より予定している東ティモールへの渡航が未だできていない状況であり、東ティモール教育省において収集予定の学生個票データの取得と現地関係者へのインタビューが実施できていない。データ取集については2015年までの個票データについては収集済みであることから、東ティモールへの渡航が困難である場合には取得済みのデータを利用して分析を行う予定である。 また、米国におけるアフガニスタン識字教育および初等教育の専門家との会合及び資料収集が実施できていない。アフガニスタン識字教育については紛争が教育効果に与える影響を説明する背後の文脈が重要となるため、渡航が可能になり次第、情報収集を行いたいと考えている。 さらに、新型コロナウイルス感染症によって管轄していた海外留学生の入試、渡日に関する部局運営業務にある程度の時間を割く必要が生じ、業務へ割く時間が増加したことも研究が遅れている一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症による出入国制限が緩和され次第、8月~9月あるいは3月に東ティモールに渡航し、必要なデータの収集を行う予定である。 東ティモールに関する研究については、東ティモールの全教育レベルに所属する学生個人の12年分の学業実態に関するパネルデータを利用して、紛争後の東ティモールにおいて学生の留年・退学の学業行動のメカニズムを解明するための分析を行う予定である。 また、アフガニスタンに関する研究については、既に取得済みの大規模な社会調査(NRVA)データ2009、2011、2013を利用してパネルデータを構築したうえで、紛争地域、学校施設、個人の3レベルによるマルチレベル分析を行い、分析結果を論文としてまとめる予定である。 学会発表及び研究会議については、継続的に国内および海外の学会で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の発生により対象国である東ティモールにおける現地調査が計画通りにできていないことが主な原因である。また、米国においてアフガニスタンの識字教育および初等教育に関する専門家とのインタビューと資料収集についてもコロナ感染症の関係で実施できていない。さらに他の研究費との調整により独立基盤形成支援費による設備購入が遅れていることがある。
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